カポネと並んで名の知れたジョン・デリンジャー。近くはウォーレン・オーツの出世作が「デリンジャー」だったっけ。現在はジョニー・デップがデリンジャーに扮する作品が進行中らしい。カルロス・ブレイクの邦訳第3弾は、デリンジャーの右腕と目されたハリー・ピアポントという男を軸に、大恐慌にあえぐアメリカは中西部をまたにかけた銀行強盗団のしのぎを描いたクライムストーリー。大恐慌の再現といわれる今、申し分ない訳出のタイミングではある。
ピアポントとデリンジャーを始め、まるで青春小説のような爽やかさ漂うギャング達の肖像。どのキャラクターも良く描けて魅力的だし、公序良俗の枠組みに納まれず、ヒリつくような瞬間にしか生きる実感を得ることができない者達の仕事振りと意見をテンポ良くスポーティーに描いて、倫理道徳を基準にしないカルロス・ブレイクの筆はますます快調。軽く読めるが、軽くない面白さには大満足。ちょい役だが、何事があろうと常に120%息子を擁護し受け入れるピアポントの母親には泣けた。
確かに、平然と銀行強盗を繰り返すギャング達の話だから、「略奪の群れ」という題に偽りはないが、そんな野盗や山賊を思わせるような集団の話ではなく「HANDSOME HARRY」という原題が余程しっくりくる中味ではある。この間訃報が届いたポール・ニューマンの「暴力脱獄」が原題を『COOLHAND LUKE』といったのと同様のギャップを感じる。どちらも誇りと名誉を描いて香り高さもあるだけに、粗野で暴力的な印象の邦題がちょいと情けない。
ジェイムズ・カルロス・ブレイク
加賀山卓朗 訳
2008年9月10日 1刷
文春文庫 819円
2008/11/10
2006/06/04
無頼の掟 J・カルロス・ブレイク
「このミス」ベスト3。うん。いや面白い。
カルロス・ブレイク、格好良さにとことん拘ってるところが素晴らしい。当然ケレン味もたっぷりだが、修羅場は素っ気なく、日常風景を入念に描き込むという、スカしたスタイルから生まれるクールな魅力。
きちんとした教育を受け、能力も人並み以上ではあるが、人並みな人生に何の意味も手応えも感じられない「おれ」が、強盗、強奪を繰り返しながら成長して行く。それがリリカル!に描かれていて、ピカレスクな青春ロードノベルとして魅力的。
「おれ」の資質をいち早く認め、その道へと確かな導きをしてくれちゃうのが双子の叔父達というどうしょもなさ。このキャラクターの味付けが素敵だ。物語の進行には直接関係ない叔父達の減らず口の応酬は面白さのベースともなっている。全体は「俺たちに明日は無い」なのだが、やるかやられるかが基本で、善悪を価値基準として導入していない分軽快に読める。
ひたひたと迫ってくる伝説の鬼警官の描き方がスパイシーでカッコいい。女の絡ませ方もうまいし、アクションもしのぎもリアリさと迫力に不足無い。このミス3位に、何を今更てなもんだが、このセンス、このカッコよさには脱帽。
カルロス・ブレイク、格好良さにとことん拘ってるところが素晴らしい。当然ケレン味もたっぷりだが、修羅場は素っ気なく、日常風景を入念に描き込むという、スカしたスタイルから生まれるクールな魅力。
きちんとした教育を受け、能力も人並み以上ではあるが、人並みな人生に何の意味も手応えも感じられない「おれ」が、強盗、強奪を繰り返しながら成長して行く。それがリリカル!に描かれていて、ピカレスクな青春ロードノベルとして魅力的。
「おれ」の資質をいち早く認め、その道へと確かな導きをしてくれちゃうのが双子の叔父達というどうしょもなさ。このキャラクターの味付けが素敵だ。物語の進行には直接関係ない叔父達の減らず口の応酬は面白さのベースともなっている。全体は「俺たちに明日は無い」なのだが、やるかやられるかが基本で、善悪を価値基準として導入していない分軽快に読める。
ひたひたと迫ってくる伝説の鬼警官の描き方がスパイシーでカッコいい。女の絡ませ方もうまいし、アクションもしのぎもリアリさと迫力に不足無い。このミス3位に、何を今更てなもんだが、このセンス、このカッコよさには脱帽。
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