2005/12/28

キング・コング


ジャック・ブラック、エイドリアン・ライン。地味めのキャスティングには不安もあったが、キング・コングのスーパーヒーロー振りに拮抗するジャック・ブラックのアクの強さをはじめ、キャスティングの説得力は申し分無かった。リトル・ダンサーのジェイミー・ベルの成長振りにも驚いた。

序盤、ニューヨークの街頭風景やショウビズ界の描写から無駄のない語り口と隙のない絵作りが快感。大人はいいが子供は退屈する部分だが、ここを辛抱する経験も子供には大事だ。

中盤、絶海の孤島に上陸以降、派手な見せ場のつるべ撃ち。探検隊全滅必至の状況を幾度もくぐり抜けるアクションを、しつこい、くどい、ってくらいにたっぷり見せてくれる。キャラクター描写も、伏線の仕込みも充分。コングの運搬輸送関係には課題も少なくないはずだが、情緒盛り上げの目くらましでサッと舞台を切り替える狡さも憎い。

悲劇の予感に切なさが高まって行く終盤。メロドラマとアクションを完璧なビジュアルでテンポ良く見せる演出が素晴らしい。摩天楼の空中戦に至っては、もう見惚れるばかりの素晴らしさ。オリジナル作品へのリスペクトを感じさせる複葉機の動き。ダイナミックなカメラが捉えた光と色のきらめき。空中戦のライブ感が堪らない。摩天楼の天辺で咆哮するコングの大きさと小ささ。地球の美しさへと繋ぐイマジネーションが素晴らしい。

「男はつらいよ」なきあと、寅さんの精神を体を張って示したコングの姿は家族で安心して楽しめる判り易さ。娯楽性に優れてボリュームもたっぷり。スケールと格調からも正統派お正月映画の貫禄充分。