2006/12/10

カジノ・ロワイヤル


簡潔にしてショッキング。身の引き締まるようなプロローグに洒落れた落ちでタイトルにつなげる。007といえばメインタイトルってくらい、毎回手を替え品を替え楽しませてくれる企画もの、今回もまた、洗練はそのまま、しかしリニューアル感たっぷりに楽しませてくれる。

これ迄とは違うものを見せましょうという作り手の構えがビシビシくる気分の盛り上がりそのままに本編突入。ここから一気に盛 り上がるアクションが凄かった。SF的な小道具に頼った007的荒唐無稽見せ物アクションとは一線を画したリアルな状況設定。そこに体を張った信じられな い殺陣、その破天荒な技の組み立てが連続する凄い展開。もう、驚き呆れ感じ入ってスクリーンに釘付け。近来出色の超絶アクションに大満足。幕開けからテン ポの良さとこの隙のなさ。新生007の気迫にすっかり取り込まれてしまった。

ダニエル・クレイグはここ迄の芝居らしい芝居の無いアクションだけで、向こう見ずで跳ねっ返りな新らしいボンドらしさを主張しているのには感心した。脚本と演出と役者の息がピッタリなのだ。以下、随所に新しさを感じ させる演出で快調に飛ばしていく。要所要所にはシリーズの伝統を踏まえた、ことに、シリーズの方向を決定づけた、殺しの番号、危機一発、ゴールドフィン ガー、サンダーボールへのリスペクト、オマージュと見えるシーンを多発させながらどんどん気分をを盛り上げる。実にどうも、憎い手口で好感がどんどん増していく。

エバ・グリーンも、ノーメイクとメイクとの表情の落差がキャラに深みを加えて、歴代ボンドガールの上位にランキングされるクールビューティー振り。血の涙のル・シッフルも、冷血ななかに哀感が滲む深みのある敵役で印象的。ダニエ ル・クレイグの起用が意外にも効果的だったのは、ジュディ・デンチかっこ良くみえるようになったこと。

現代の国際経済、テロリズム渦巻く世界に、冷戦の 時代のおとし子が復活し、ハードにクールに暴れまくる。プロローグからエピローグ迄、新生007の格好良さをぎっしりと詰め込んで、あらゆる角度から見て大成功の快作。ハイセンス、ハイレベルなリニューアルにカンパイなのである。

原題:Casino Royale
監督:マーティン・キャンベル
製作:バーバラ・ブロッコリ、マイケル・G・ウィルソン
脚本:ポール・ハギス、ロバート・ウェイド、ニール・パービス
原作:イアン・フレミング
撮影:フィル・メヒュー
音楽:デビッド・アーノルド
出演:ダニエル・クレイグ、エバ・グリーン、マッツ・ミケルセン、ジェフリー・ライト、ジャンカルロ・ジャンニーニ、ジュディ・デンチ
2006年イギリス=アメリカ=チェコ合作/2時間24分
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント