ハゲタカ
日本を代表する自動車メーカーに敵対的買収を仕掛ける中国ファンドに、伝説のファンドマネージャーが立ち上がる。
玉山鉄二扮する中国ファンドの辣腕マネージャーが立派な悪役振りで頼もしい。日本を買い叩け!との中国政府の意向を受けた玉山が、TOBに望む導入部は快調なテンポで面白くなりそうな空気が画面に漲った。厳しい仕手戦の内幕がこれからスリリングに、かつ格好良く描かれていくのであろうよと、見ているこちらもちょっと気合いが入った。
玉山を受けて立つ大森南朋も不敵な面構えが伝説のファンドマネージャーにぴったりで魅力がある。総じて役者達は良い芝居を見せているのだが、ファンドマネージャーの仕事がどうのこうのというより、登場人物達の過去だの因縁だのによってドラマが構成されていおり、話が進めば進む程、主要な人物達が皆で泣きを入れる浪花節に転じて、終わってみれば、血も涙もないハゲタカ同士の攻防なんてのはほんの刺身のつまなのだった。金融ビジネスという現代そのものの、いくらでも面白くなりそうな素材を実にもったいないことではある。経済戦の中味の無さは脚本の責任だが、それを途切れる事無く流れる大仰さが最悪なBGMと大森南朋の顔の大アップで緊迫感を煽り立てるという野暮な演出もまた、スクリーンが放つダイナミズムを理解しているとは言い難い。
NHKが製作に一枚噛んだれっきとした東宝映画なのだが、遠藤憲一や柴田恭兵が声を荒げているの見ているとどうも東映映画を観ているような気になった。
監督:大友啓史
企画・プロデューサー:訓覇圭、遠藤学
エグゼクティブプロデューサー:諏訪部章夫、市川南
脚本:林宏司
原作:真山仁
撮影:清久素延
美術:花谷秀文
編集:大庭弘之
音楽:佐藤直樹
出演:大森南朋、玉山鉄二、栗山千明、高良健吾、遠藤憲一、柴田恭兵、
2009年 上映時間:2時間14分
配給:東宝