
ゲームの映画化ってことで、元のゲームは知らないしホラーも苦手だから見る気はなかったが、絶賛する声が少なくないのが気になって見に行く。行って良かった。
夢遊病の娘がつぶやく言葉に導かれ、サイレントヒルという名のゴーストタウンにたどり着いた母と娘。しかし娘は忽然と姿を消し、母は我が子を取り戻すべく死の街の奥深くに分け入っていく。
元がゲームというだけあって、ゴーストタウンで娘を追うだけのシンプルな設定。ここにヒロインの危機が連続するプロセスもまたゲーム的だが、訳分からないまま葛藤、決断を繰り返し、核心に肉薄していく母親を演じたラダ・ミッチェルの節度、品位、色気のバランスが絶妙な魅力は、まさに映画ならでは。
この監督、語り口も見せ方もセンス抜群。イマジネーション豊かな絵作りが素晴らしい。要所要所でヒロインを脅かすクリーチャー達も、怖さより気色悪さが特徴的だが、何より、観客を背後から驚かすような演出をしていない。そういう刺激を期待すると物足り無く感じるかもしれないが、ビクビクさせられるのは嫌なので全然不満はない。
それより世界の全体像が明らかになるにつれ、アート的な統一感を深めていくビジュアルが、思いがけないイメージとスケールで一気に結晶していくクライマックスの素晴らしいこと。このクライマックスの迫力と美しさに唖然。唖然としながらも、力強さと問答無用のカタルシスに心の中で拍手喝采。
おぞましさと気色悪さを、えげつなくも品位のある映像で見せた、アート風味も魅力なホラー。エピローグの切なさも味わい深い。
原題:Silent Hill
監督:クリストフ・ガンズ
脚本:ロジャー・エイバリー
製作:サミュエル・ハディダ、ドン・カーモディ
撮影:ダン・ローストセン
音楽:ジェフ・ダナ、山岡晃
出演:ラダ・ミッチェル、ショーン・ビーン、デボラ・カーラ・アンガー、ローリー・ホールデン、ジョデル・フェルランド
2006年アメリカ映画/2時間6分
配給:松竹