
クリプトンに帰省したスーパーマンが地球に帰還した時、既に5年の歳月が流れていた。この間、ロイスは「スパーマン不要論」でピューリツァー賞を受賞!さらに結婚して1児の母となっていたのだった。果たして、今の地球にスーパーマンの居場所は有りや、ってところから始まるリターンズなのである。
正義と真実のため、日夜戦い続けてきたスーパーマンにしてこの扱いなのである。愛する人は子持ちの人妻となり、その上存在さえも否定されるのである。スーパーマンも人の子であれば、こんな仕打ちに耐えかねていっそダークサイドに身を投じたとしても不思議はない。そうなったとして、一体どこの誰がこの超人を責めることができようか、てなもんである。
がしかし、我らがヒーロー界にあって、頂点に君臨する男はそんな眼にあっても決してグレたりしないのだ。恨まず腐らず悪びれず、ただ正義と真実を守る為に、人々が必要と言ってくれる日を信じて身を粉にして闘うのである。ヒーローも生き難い時代への対応を迫られる嫌な時代に、愚痴ひとつこぼすでもなく自分の使命を果たそうとする。立派だ。
出世作Xメンの演出よりスーパーマンを選んだブライアン・シンガーだが、巻頭から透過3Dのタイトルロゴ、ジョン・ウイリアムズのテーマ曲、マーロン・ブランド、ジェフリー・アンスワースの麦畑等々、次から次に繰り出されるイメージは1978年のリチャード・ドナー版スーパーマンへの敬意に満ち満ちている。
あれがほんとに大好きなんだなぁという感じが色濃いが、でも、全然構わない。ヒーローはよりパワフルだし、助走なしのフライングもスピードと安定が増して格好良いい。ケビン・スペイシーのレックス・ルーサーもジーン・ハックマンより大物感があって大変結構。ロイスがもっと魅力的だったら、切なさ増した結構な大人の恋愛映画にもなったものを、と惜しまれた。
ちなみに、76年「キングコング」77年「スター・ウォーズ」78年「スーパーマン」という順序で制作公開された3作品、約25、6年たって、時を同じく完結、リメイクってのはシンクロニシティーかノスタルジーか企画の貧困か単なる偶然か分からないが、何かと興味深い。
原題:Superman Returns
監督:ブライアン・シンガー
脚本:マイケル・ドアティー、ダン・ハリス
撮影:ニュートン・トーマス・シーゲル
音楽:ジョン・オットマン
出演:ブランドン・ラウス、ケイト・ボスワース、ジェームズ・マースデン、フランク・ランジェラ、エバ・マリー・セイント、ケビン・スペイシー
2006年アメリカ映画/2時間34分
配給:ワーナー・ブラザース映画