朝鮮戦争のさなか、山奥の村にアメリカ空軍機が不時着。時を同じくして人民軍兵士と韓国軍兵士が吸い寄せられるように集 まってくる。牧歌的な村に一触即発の緊張が一気に高まるが、村人の伝統と秩序に則った暮らしは揺るがない。対立する兵士達の険しかった表情も次第に穏やか さを取り戻す頃、戦雲はトンマッコルの上空に及んでくる。
南北分断によってもたらされる悲劇をドラマティックに描き、統一への強い思いを訴えた「シュリ」や「J・S・A」から5年。「トンマッコルヘようこそ」は同じテーマをファンタジックに描くという、全く異なるアプローチで見せている。流れた時間がもたらした意識の成熟。
南北双方の兵士の顔が魅力的。朝鮮文化を象徴するトンマッコルの美しさと暮らしぶりも説得力がある。見所だってたっぷりある。がしかし、何かにつ けてべたなのである。韓国映画にべただと文句を言うのは、刺身が生だと言いつのるに等しい難癖だと承知はしているが、べたべたなのだ。
べたべたであるうえに、肝心なところはすべからくあざといのである。これを様式美と割り切れればいいが、当方はディテイルの統一リアリティの充実に対する欲求が強く、そこが充たされぬことには気持ちも納まらない難儀な性分なのである。
国家統一という大義名分をファンタジーとして描いた意欲作であり、制作者達の誇りと意気込みも十分感じられるが、スローモーションを多用した自己陶酔気味な映像も少なくない2時間12分。観客の生理から言えば、いかにも長い。
英題:Welcome to Dongmakgol
監督・脚本:パク・クァンヒョン
脚本:チャン・ジン、キム・ジュン
音楽:久石譲
撮影:チェ・サンホ
出演:シン・ハギュン、チョン・ジェヨン、カン・ヘジョン、
イム・ハリョン、ソ・ジェギョン、リュ・ドックァン
2005年韓国映画/2時間12分