2008/12/05

レッドクリフ

見た目の格好良さを追求して止まないジョン・ウーの身上はその「軽薄」さだ。なので、「三国志」みたいな重厚長大との相性は必ずしも良くないんじゃないの、「レッドクリフ」ってタイトルからしてすでに微妙だし。と思っていた。まあ、今迄「三国志」は読んだ事も観た事もなくきたので、これは単に根拠のない憶測予断に過ぎないのだが。

跳ね上がる泥水の飛沫。「七人の侍」のクライマックスを連想させる激しい戦闘シーン。巻き込まれるいたいけな幼児と母の絶体絶命に超絶体技で応じる英雄の勇姿。開巻即の格好良さ全開。考える間もあればこそ、あっという間に観客拉致してヒロイックファンタジーの世界へと強引に連れ去る呼吸のよさは流石ジョン・ウーなのである。プロローグも一息ついて、お話は魏の横暴に抵抗する呉の金城武と蜀のトニーレオンの肝っ玉較べへと進行していく。なるほど。そういう話であったのか。

英雄豪傑はあくまで英雄的であり、剛毅な振る舞いで雑兵を圧倒し続ける。できる男達の見せ場の数々。格好良さ至上の殺陣、その臆面なさが痛快。ほとんど歌舞伎の荒事に等しい世界。人間のスケールと地位が正比例し、役割と仕事の分担が明確なところも、この世の本質が階級的であることをスッキリと映している。もったいを付けず深刻にもならず、秩序立つというより様式的であり、とても分かりやすいのである。ジョン・ウーの軽薄さと重厚長大とが巧く釣り合っている。

役者ではトニーレオンがだんとつのかっこ良さだが、金城武は面構えが甘い過ぎて天才的な軍師と見えないのが不満。CGに頼り過ぎたモッブシーンも見飽きた。いくら大軍でも大地を覆う軍勢や川面を埋め尽くす船団もインフレの度が過ぎて興ざめするのだ。あんな船団が一気に押し寄せて、排泄物の処理は一体どうすんだ。垂れ流しで河は大変な有様になるのではなかろうかなどと、エコ意識を刺激されてあらぬ心配をさせられた。その辺のことも気になるから、パート2もすぐに観に行こうと思う。

原題:赤壁

監督:ジョン・ウー

脚本:ジョン・ウー、カン・チャン、コー・ジェン、ジン・ハーユ

総指揮:ハン・サンピン、松浦勝人、ウー・ケボ、千葉龍平、ジョン・ウー

製作:テレンス・チャン、ジョン・ウー
撮影:リュイ・ユエ、チェン・リー

音楽:岩代太郎

アクション撮影:コリー・ユン

出演:トニーレオン、金城武、チャンフォイー、チャン・チェン、中村獅童