2006/01/09

SAYURI


柳橋も祇園も吉原も一緒くたになったような異空間「はなまち」の売れっ子芸者コン・リーは、ナンバーワン芸者ミッシェル・ヨーと台頭するチャン・ツィイーに激しい対抗意識を燃やしていた。伝統としきたりに生きる女達が、誇りと名誉と実利をかけて繰り広げるサバイバル。

「芸者の思い出」とは一体どんなお話なのかと思ったが、要は少女が「旦那」への一途な愛を貫いて幸せを手にするというシンデレラ物語なのだった。

風格あるミッシェル・ヨー、チャン・ツィイーも少女から大人へと立派な芸者振り。しかし悪役コン・リーが馬鹿な性悪女としてしか描かれないから、女同士の対立はバランスが悪く、ドラマは深まらない。

渡辺謙は儲け役を気持ち良さそうに演じ、役所広司も特徴あるキャラクターだが、両者行動に説得力が無く、魅力的とは言い難い。それやこれやで、役者はよくやっているのに、行動に聡明さが欠けているため、映画全体に頭が悪そうな雰囲気が漂っていたのは残念。

素材的には五社英雄。「臥虎蔵龍」を思い出したのはミッシェル・ヨーとチャン・ツィイーの競演だからではなく、ヨーヨーマのせい。チャン・ツィイーの少女時代を演じた女の子がかわいくて印象的。展開が早く映像も美して、思っていたより楽しめた。

原題:Memoirs of a Geisha
監督:ロブ・マーシャル
脚本:ロビン・スウィコード、ダグ・ライト
撮影:ディオン・ビーブ
出演:チャン・ツィイー、渡辺謙、コン・リー
2005年アメリカ映画/2時間26分
配給:ブエナビスタ、松竹