2006/02/12

オリバー・ツイスト


パーフェクトだった「戦場のピアニスト」。
あんな作品を作ってしまった監督の次の仕事となれば、これは見逃せない。勇んで出かけたが1週間の疲れが出たか、タイトルも終わらないうちから眠くなってきた。オリバーが救護院に入れられるあたりで、こりゃまずいと思ったが、気が付けばオリバーは救護院から抜け出すところ。どれくらい気絶したか知らないが、大した時間でないのは確か。なのに眠気は消えてすっきりした気分。ラッキー。後はじっくり画面に集中できた。

巨大オープンセットに往時のロンドンを再現したというだけあって、重量感たっぷりで安定感にも不足のない迫力画面。ロンドンの町並みに猥雑なエネルギー発散した人々が溢れかえる。いかにもディッケンズ的と思わせる登場人物達の顔顔顔。ベン・キングスレイの特殊メークも見事な仕事だが、これだけの顔を集めたキャスティングディレクターの手腕も大したもんだ。さらにリアルな衣装がより一層の効果を醸し出す。力のある仕事師達が約束してくれる魅力と快感。

オリバーのロンドンは、浮浪児達は食うために悪事を働かざるを得ず、親方は浮浪児達をこき使って搾取に余念がない。いってみれば福祉教育予算は切り詰められ、企業は契約パートで労働力を搾取する一方という、何だか二極化現代日本を彷彿とさせる社会なのだった。浮浪児オリバーは、一時は腕のいいドロボーとして将来を嘱望されるが、運命のいたずらからシンデレラボーイとして活路を見いだす。

ついこの間までなら、このハッピーエンディングは物語の締めくくりとして何の問題もなかったのだろうが、善良な心と天使のような愛らしさ故にオリバーだけが救われ、他の子ども達が捨て置かれるような印象は、今時、何か納まりが悪い。第一あのおじさんが実は不届きな小児性愛者だったらどうするのか。なんて考えが頭をよぎる己の品性疑りながらも、それもこれも、時代の病理の深さ故さと、自己弁護してみる。


原題:Oliver Twist
監督:ロマン・ポランスキー
脚本:ロナルド・ハーウッド
撮影:パベル・エデルマン
出演:バーニー・クラーク、ベン・キングズレー、ハリー・イーデン
2005年フランス=イギリス=チェコ合作/2時間9分
配給:東芝エンタテインメント、東宝東和