2006/02/26

ウォーク・ザ・ライン/君につづく道


ラジオからジョニー・キャッシュが流れていたのは大昔のこと。憶えているのは「16トン」。あれが大ヒットしてたのは、それこそ「三丁目の夕日」の頃だ。日本の団塊オヤジがノスタルジーをくすぐられるくらいだから、この映画、年配のアメリカンには堪らんだろうなぁ。

南部の貧しい農家の次男坊。出来のいい兄ほどには父親から愛されない疎外感を抱えながら、ミュージシャンとして大成功をおさめる。が、そこには不幸も挫折も準備されていた。
「エデンの東」のジェームス・ディーンのその後、といったお話の流れではあるが、それはともかく、ジョニー・キャッシュのデビューから全盛期へと、ライブ感に溢れたステージ場面やハードなコンサートツァーの様子、若きエルビス登場のサービス等、ふんだんに織り込みながら、彼の生きた時代と半生とが描かれる。

リヴァー・フェニックスとの関係など、人ごとでない感じもあったかも知れないホアキン・フェニックスが演じるジョニー・キャッシュの屈折は、そっくりさん的では無いところに却って説得力があり、さらに、西海岸風なコメディエンヌという印象が強かったリース・ウイザースプーンが、作品のダークなトーンを明るく照らしかえすヒロインとして魅力的に輝いているのにも感動した。極端な汚れ役でリニューアルというのはよくある手だが、こんな風に柄を生かした新境地というのは相当に難易度が高いのではないだろうか。

音楽映画として、歌をしっかり聴かせてくれたところもこの映画の大きな魅力だ。主演の二人も吹き替え無しの自前の歌唱だという。確かに吹き替えなんかいらないくらい二人とも上手い。
2時間16分という長尺を、だらけず飽きさせず見せ、語りきったスタッフの力がスクリーンの隅々に漲っている。そのエネルギーが一直線に観客席に届く。ジョニー・キャッシュのかっこよさがドーンと伝わって来て泣けた。

原題:Walk the Line
監督・共同脚本:ジェームズ・マンゴールド
共同脚本:ギル・デニス
撮影:フェドン・パパマイケル
音楽:T=ボーン・バーネット
出演:ホアキン・フェニックス、リース・ウィザースプーン、ジェニファー・グッドウィン
2005年アメリカ映画/2時間16分
配給:20世紀フォックス映画