2008/07/24

ザ・マジックアワー

エンドロールで流れる、セットが完成するまでを早送りする映像が面白い。実際に良くデザインされたセットで、空間の密度が高く独特の雰囲気が漂っている。マルセイユの裏通り(いったこと無いが)を思わせるようなだが、その分、他の場面か浮いてしまう感もある。

佐藤浩市に田舎芝居、西田敏行に抑えた演技、妻夫木にいい加減な男、深津絵里にヴァンプと、意外性で鮮度の高いキャラクター作りの狙いはいいが、妻夫木と深津絵里はしっくりこないのである。例えば、ジャック・レモンとウォルター・マッソー、ポール・ニューマンにはロバート・レドフォード、高倉健なら池部良、やすしにはきよしなのである。

佐藤浩市をペテンにかけ、そのうえ西田敏行までもコントロールしなければいけないのである。妻夫木君には荷が重すぎる。バランスが悪いのである。深津絵里も海千山千の親分手玉に取るには柔軟さに欠けるのである。ここは、深津絵里を鈴木京香、妻夫木を香川照之で良かったのではないか、などど妄想してしまうのだ。

亀治郎の登場には笑った。何と懐かしい柳沢真一、だが懐かしさ以上に谷原章介と良く似ているのに驚いた。市村萬次郎の会計士ともども、三谷ならではの素晴らしいキャスティングセンスに感心する。ビリー・ワイルダーの粋、ハワード・ホークスの色気には未だしだが、日本ではなかなか成立し難い大人の都会派コメディーに挑戦し続ける三谷の健闘を讃えつつ、次に期待しよう。

監督・脚本:三谷幸喜
製作:亀山千広、島谷能成
撮影:山本英夫
音楽:荻野清子
美術:種田陽平
出演:佐藤浩市、妻夫木聡、深津絵里、綾瀬はるか、西田敏行、小日向文世、寺島進、戸田恵子、伊吹吾郎、浅野和之、市村萬次郎、柳澤愼一、香川照之、甲本雅裕、近藤芳正、梶原善、阿南健治、榎木兵衛、堀部圭亮、山本耕史、市川亀治郎、市川崑、中井貴一、鈴木京香、谷原章介、寺脇康文、天海祐希、唐沢寿明
2008年 2時間16分
配給:東宝