2008/08/24

八月納涼大歌舞伎 三部

一、新歌舞伎十八番の内 紅葉狩(もみじがり)
8月15日だが舞台は秋真っ盛り。一面の紅葉なのである。そこに歩み出る橋之助(平維茂)の何とすっきりときれいな立ち姿。コミカルな従者の高麗蔵、亀蔵が一層引き立てる。平維茂に対するお姫様実は鬼女の勘太郎。これが大した頑張りで好感度大。特に肩入れするわけはないが、時に危なげある舞扇のジャグリングにいつの間にかこちらも力が入って、しくじるなよとついハラハラさせられるスリリングな時間。若い人の一生懸命を舞台と客席が一緒になって支え、いつの間にか見守っている。そんな一体感を生んだ勘太郎は敢闘賞。

びっくりしたのは、お姫様の侍女が素晴らしい踊りをみせたこと。子供の様だが上手い上に色っぽくて独特の雰囲気に目が離せなくなった。とても気になって、隣の御婦人に教えを請うたら、最近中村屋の部屋子になったつるまつさん、中学生。とのこと。うーん、これは今後の成長を見守りたい。二部三部を通して一番印象的だった鶴松くん。

更科姫・戸隠山の鬼女 勘太郎  山神 巳之助  従者右源太 高麗蔵  
同 左源太 亀蔵  侍女野菊 鶴松  腰元岩橋 市蔵 局田毎 家橘 
余吾将軍平維茂 橋之助

二、野田版 愛陀姫(あいだひめ)
野田秀樹が歌劇「アイーダ」を アイーダ=愛陀姫 ラダメス=木村駄目助左衛門 アムネリス=濃姫 と言うセンスで歌舞伎に移植。エジプト王=美濃の斎藤道三というダウンサイズに悲恋という本質が損なわれることはないはずだが、(きむラ ダメスけざえもん)という遊びの名に恥じぬ悲恋を見せようってのが野田版の心意気なんだろう。
コメディー部門をリードするインチキ祈祷師コンビ荏原と細毛の扇雀と福助。一見誰だか分からない念入りなメークの福助の、混乱するほどにテンションが高くなっていくインチキ祈祷師ぶりが可笑しい。この優れたコメディエンヌ振りは福助の美しさを裏付けるものだ。
シリアス部門をリードするのは七之助と橋之助に恋敵の勘三郎。三角関係の行き詰まりと打開が悲恋へと盛り上がるところが、三者ともキャラの立ち具合が今ひとつなのは残念。象や、昇天する魂などビニールの使い方が効果的なぐらいに、恋愛の高揚感にも不足気味だったが、歌劇アイーダをパロディーとして遊び倒した野田版。沢山笑わさせてくれて楽しい納涼の夕べとなった。
朝から晩迄大活躍の勘三郎、並の人ではないが流石に喉にも疲れが感じられるようだった。

濃姫 勘三郎  愛陀姫 七之助  駄目助左衛門 橋之助  高橋 松也
鈴木主水之助 勘太郎  多々木斬蔵  亀蔵  斎藤道三 彌十郎  
祈祷師荏原 扇雀  同 細毛 福助  織田信秀 三津五郎  
2F東5-1 8/15