歩き、立ち止まり、きびすを返し、走り、両手を広げ、抱きしめ、消失する。
部屋の中央に積み上げられた7台のプロジェクターから投影された人たち。
輪郭を黒壁に溶かして浮かび上がる裸の男女が同じ動きを繰り返している。
それぞれ動きは独立し動きにそれ以上の意味はなく、互いに何の関係も無い。
だが、制御されたプロジェクターが交錯して、個々の動作に意味が生まれる。
一連の動きが、おいかけ、すれ違い、抱擁など関係を示す動きへと変化する。
儚く不確かなゆえ、より強固にしようとする人の営みを照らすように、
等身大の五つの裸体が4面の黒壁を世界に繰り広げるエンドレスライフ。
機械の同調が産んだ静かで美しい幻影。
もし若い頃、辛い恋愛や立ち直れない失恋の渦中にこの作品に出会ったなら、
その辛さにしっかり向き合える力が湧いてきたのでは無かろうかと思わせる、
loversー永遠の恋人たちと題されたビデオインスタレーション(古橋悌二作)
09.8.30
「トレース・エレメンツ 日豪の写真メディアにおける精神と記憶」展
東京オペラシティーアートギャラリー