
去年、評判が高かった韓国映画。劇場で見るのは諦めていたが小田原コロナにかかったので見に行く。
殺人容疑で逮捕された知恵遅れの息子と無実を信じて真犯人の究明に奔走する母親。冬枯れの野原に女が一人踊り始める奇妙なオープニングから、何だか目が離せなくなる。主人公の母親の生活感、存在感と力強い演出がうまく噛みあって画面には重量感がある。母親の思いが通じて無垢な息子の冤罪が晴らされるか、と思わせて意外性を高める後半のタフな展開も素晴らしい。この監督は過去に怪獣のジャンル映画と見せて凶暴なホームドラマにしてしまった「グエルム」という作品がある。あれに照らせばこれも母という名の怪物を描いたホームドラマと言える。単に「母」とシンプル極まる原題を「母なる証明」とした邦題は、曰くあり気でとても上手い。
ところで、「グエルム」も「母なる証明」も骨太でパワフルな面白さは分かるが、どうも魅力を感じない。この母親も印象的だが、顔の表情で見せる芝居は仲代達矢的な技巧が炸裂して好みではないし、息子のイノセントな様子もあざとく感じてしまう。この監督絵作りはセンスが良いし語り口も力強い。才気煥発で実力もあるが。だがここと言うところで作為、あざとさを感じてしまうことがしばしばで、どうも相性がよろしくないのをである。