「かもめ食堂」のバリエーションのよう。
南の島の民宿で、のたりのたりする時間を礼節ある態度で静かに過ごす人々。かもめ食堂に見られたような物語性もキャラクターの背景など、細部の説明的な要素は一切省かれているが、それを補って余りある、怪優もたいまさこと、もたいの剛球をデリケートでニュアンスに富んだ表情で受けとめる小林聡美。小林聡美のシャツスタイルの数々、もたいまさこの着こなし、市川実日子の洗練を見ているだけでも充分楽しい。光石研の懐が深く心優しさが漂う演技も良いが、加瀬亮のシンプルさも味わい深い。加瀬亮が実にいいなぁ、これからどんどん伸びるだろう。背筋を伸ばした生活の美しさを抑制された演出でファッショナブルかつユーモラスに描いて、後味も良かった。
気になったのは、この世と幽界を行き来する回路を越えて行った人々の霊を慰めるような、ある種、ホラーを思わせるような人物、背景を思わせたこと。もたいと加瀬以外はみんな幽霊でも美しい。
監督・脚本:萩上直子
音楽:金子隆博
出演:小林聡美、市川実日子、加瀬亮、光石研、もたいまさこ、薬師丸ひろ子
2007年日本映画/1時間46分
配給:日活
2007/09/24
2007/09/17
スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ
日本人が英語で西部劇をやる。それもジョン・フォードやハワード・ホークスではなく黒沢のパクリをパクったセルジオ・コルブッチを、という企画からして異色を通り越して異様だ。面白過ぎる。三池崇史の業績、名声なかりせば決して制作されることはなかったに違いないが、異色な作品に相応しく、いろもんともゲテものとも見えるキワもの感が溢れたプロローグには、期待と不安が交錯した。
壇ノ浦の合戦から数百年後。根畑(ネバダ)のとある寒村では平家の埋蔵金をめぐり源平の末裔達が激しく対立、村人に暴虐の限りを尽くしていた。というのがスキヤキ・ウエスタンの世界観。ここにフランコ・ネロ風に身を固めた伊藤英明が現われ、そこから先は元ネタ通りの展開。
紅組平家、白組源氏に色分けした衣装やセットや美術など凝った作りで安っぽくないのが大変よい。ガンアクションも弾着の効果が垢抜けている。新旧硬軟取り混ぜた配役も新鮮で贅沢だし、それらをボリュームたっぷりの美しい画面にまとめあげたカメラも実に素晴らしい。
しかし、脚本がよろしくない。ジャンゴと義経はとことんシリアスで、清盛以下平家の面々はとことんコメディアンというキャラクターの味付けは、シリアスがひたすら格好良さをアピールして説得力あるのに対し、佐藤浩市や香川照之の遊びはアイディア倒れで説得力に乏しく、ドラマに奥行きが生じない不満が募る。「仁義なき戦い」の金子信雄とは言わないまでも、佐藤と香川のキャラクターにはもっと厚みが欲しかった。義経の伊勢谷友介は外見の格好良さで追い込んで行く正攻法のヒーロー振りに迷いがなく、見ていて気持がいい。木村佳乃はこの世の不幸を一身に背負い込んだような役を良くやっていたが、ダンスシーンはまったくいただけない。振り付けも寒いのだ。伊藤英明はフランコ・ネロよりむしろジュリアーノ・ジェンマ。
異色な設定でやりたい放題といったイメージだったが、内容的には一途な愛とか、主人公の不幸な過去とかでストーリーを盛り上げようとしているのは意外だった。結果、教訓的で感傷的で説教臭くもなっている。外側の派手で外道な作りを中味のお行儀よさが裏切るというか、悪党が大したことないから格好良さも表面的といおうか、面白さが爆発しないのである。真面目に普通の格好良さを追及した作品だったのだ。orz。
余分なギャグやエポソードの多さで時間が長くなっているのも良くない。この作品に限らず、一本2時間が標準化した最近は、無駄な時間稼ぎで冗長になった作品が増えている。本当に迷惑なことだ。
出てくる奴がみんな変で、日本語でいうのは恥ずかしいようなセリフばかりなので全篇英語にした、とか言うのかと思ったけど、これだったら、例えば鹿児島弁対東北弁とかでやった方が破壊力あるんではなかろうか。単に英語だとカッコいいからという理由での全篇英語だったとしたら、NOVAのタイアップ広告とか、英語教育振興を讃える文部科学省推薦とかあると良かったのでは。
究極のゴッコ遊びをして見せたかという、うらやましいような痛快さが内に籠ってしまったような作品。この珍品振りは記憶に残る。
原題:Sukiyaki Western Django
監督:三池崇史
脚本:NAKA雅MURA、三池崇史
撮影:栗田豊通
音楽:遠藤浩二
美術:佐々木尚
衣装:北村道子
2007年2時間1分
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
CAST 伊藤英明、佐藤浩市、伊勢谷友介、安藤政信、木村佳乃、桃井かおり、香川照之、クエンティン・タランティーノ、石橋貴明、松重豊、石橋蓮司、堺雅人、塩見三省、
壇ノ浦の合戦から数百年後。根畑(ネバダ)のとある寒村では平家の埋蔵金をめぐり源平の末裔達が激しく対立、村人に暴虐の限りを尽くしていた。というのがスキヤキ・ウエスタンの世界観。ここにフランコ・ネロ風に身を固めた伊藤英明が現われ、そこから先は元ネタ通りの展開。
紅組平家、白組源氏に色分けした衣装やセットや美術など凝った作りで安っぽくないのが大変よい。ガンアクションも弾着の効果が垢抜けている。新旧硬軟取り混ぜた配役も新鮮で贅沢だし、それらをボリュームたっぷりの美しい画面にまとめあげたカメラも実に素晴らしい。
しかし、脚本がよろしくない。ジャンゴと義経はとことんシリアスで、清盛以下平家の面々はとことんコメディアンというキャラクターの味付けは、シリアスがひたすら格好良さをアピールして説得力あるのに対し、佐藤浩市や香川照之の遊びはアイディア倒れで説得力に乏しく、ドラマに奥行きが生じない不満が募る。「仁義なき戦い」の金子信雄とは言わないまでも、佐藤と香川のキャラクターにはもっと厚みが欲しかった。義経の伊勢谷友介は外見の格好良さで追い込んで行く正攻法のヒーロー振りに迷いがなく、見ていて気持がいい。木村佳乃はこの世の不幸を一身に背負い込んだような役を良くやっていたが、ダンスシーンはまったくいただけない。振り付けも寒いのだ。伊藤英明はフランコ・ネロよりむしろジュリアーノ・ジェンマ。
異色な設定でやりたい放題といったイメージだったが、内容的には一途な愛とか、主人公の不幸な過去とかでストーリーを盛り上げようとしているのは意外だった。結果、教訓的で感傷的で説教臭くもなっている。外側の派手で外道な作りを中味のお行儀よさが裏切るというか、悪党が大したことないから格好良さも表面的といおうか、面白さが爆発しないのである。真面目に普通の格好良さを追及した作品だったのだ。orz。
余分なギャグやエポソードの多さで時間が長くなっているのも良くない。この作品に限らず、一本2時間が標準化した最近は、無駄な時間稼ぎで冗長になった作品が増えている。本当に迷惑なことだ。
出てくる奴がみんな変で、日本語でいうのは恥ずかしいようなセリフばかりなので全篇英語にした、とか言うのかと思ったけど、これだったら、例えば鹿児島弁対東北弁とかでやった方が破壊力あるんではなかろうか。単に英語だとカッコいいからという理由での全篇英語だったとしたら、NOVAのタイアップ広告とか、英語教育振興を讃える文部科学省推薦とかあると良かったのでは。
究極のゴッコ遊びをして見せたかという、うらやましいような痛快さが内に籠ってしまったような作品。この珍品振りは記憶に残る。
原題:Sukiyaki Western Django
監督:三池崇史
脚本:NAKA雅MURA、三池崇史
撮影:栗田豊通
音楽:遠藤浩二
美術:佐々木尚
衣装:北村道子
2007年2時間1分
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
CAST 伊藤英明、佐藤浩市、伊勢谷友介、安藤政信、木村佳乃、桃井かおり、香川照之、クエンティン・タランティーノ、石橋貴明、松重豊、石橋蓮司、堺雅人、塩見三省、
2007/09/10
HERO
しかしキムタクはカッコいい。松たか子もキュートだ。この二人が憎まれ口叩きながら捜査し、城西支部一丸となってバックアップする。あんな環境であんな関係で恋愛し仕事できたら楽しいだろうと思う。そう思わせるようきっちり作られている。
主役二人にフジTVの力を見せつけるような主役級の顔ぶれずらりそろえた脇役陣。華やかなヒーローとヒロインを盛り上げる豪華なキャスティング。適度な笑いをまぶした各キャラの見せ場が漏れなく用意され、達者な個人技が贅沢に繰り出される。TVシリーズのファンが納得も満足も出来るよう工夫がこらされている。
しかし、そのファンクラブ的なノリで楽しませる分、金を取る映画として、例えば、ファンサービスのエピソードが話の流れを悪くしたり、悪徳弁護士かと思った松本幸四郎が少しも悪徳でないため、法廷劇としてのスリルやサスペンスはすっぽりと抜けてしまったり、結構な副作用も生じている。イ・ビョンホンが出てくる度に盛り上がってた後ろの席のおばさん達のような例外を除き、TVを見ていなかった人が見ていた人以上に楽しめるかは疑問なので、流行の表記で言えば HERO the movieとした方が正確だろう。
[監]鈴木雅之
[脚]福田靖
[音]服部隆之
[出]木村拓哉 松たか子 大塚寧々 阿部寛 勝村政信 松本幸四郎 森田一義 イ・ビョンホン
中井貴一 綾瀬はるか 国仲涼子
2007東宝
135分
主役二人にフジTVの力を見せつけるような主役級の顔ぶれずらりそろえた脇役陣。華やかなヒーローとヒロインを盛り上げる豪華なキャスティング。適度な笑いをまぶした各キャラの見せ場が漏れなく用意され、達者な個人技が贅沢に繰り出される。TVシリーズのファンが納得も満足も出来るよう工夫がこらされている。
しかし、そのファンクラブ的なノリで楽しませる分、金を取る映画として、例えば、ファンサービスのエピソードが話の流れを悪くしたり、悪徳弁護士かと思った松本幸四郎が少しも悪徳でないため、法廷劇としてのスリルやサスペンスはすっぽりと抜けてしまったり、結構な副作用も生じている。イ・ビョンホンが出てくる度に盛り上がってた後ろの席のおばさん達のような例外を除き、TVを見ていなかった人が見ていた人以上に楽しめるかは疑問なので、流行の表記で言えば HERO the movieとした方が正確だろう。
[監]鈴木雅之
[脚]福田靖
[音]服部隆之
[出]木村拓哉 松たか子 大塚寧々 阿部寛 勝村政信 松本幸四郎 森田一義 イ・ビョンホン
中井貴一 綾瀬はるか 国仲涼子
2007東宝
135分
デス・プルーフ in グラインドハウス
そうそう、昔はタイトルの色は赤か黄色で、画面いっぱいにバーンと大書されたもんだった。
プリプリしたヒップにピッタリ吸い付いたようなカメラ。廊下を抜けた若い娘がカメラを尻目に部屋のカウチに身を投げる。チープでエロでおバカだが呼吸のいい滑り出し。下に車が止まり、これまた娘が二人降り立つが、一人はおしっこ漏れそうと大慌てで股間を押さえながら階段を足早に駆け上る。それをカメラが執拗にしかも接写で追いかける。何だよこれ、と思う間も無く撮影タランティーノと黄色いクレジット。
タハッ!ったくもう凄いです。人間やりたいことをやりたい様にやるってことはそれだけで充分尊敬に値するが、それがこれだけお下劣なこととなると尊敬より感動だ。
しかも、お下劣を維持したまま面白さが盛り上がって行く。ダレるところはあるがテンションは落ちない。下らないけど目が離せない。下らなさを全的に肯定するカッコよさとも潔さとも、下らなさの純度が高く、しかも極めてシンプル。タランティーノの凄さがキルビルなどよりはるかに良く出ている。とても面白い。
エンドマークが抜群のタイミング。あっけに取られる可笑しさ。いや笑った。1時間20分なら最高だ。
日本とアメリカの違いはあるだろうが、アメリカの田舎町の観客と、まだアメリカが憧れの対象だった時代の日本の観客には共有できる部分もある。場末の2番館、3番館で見た3本立て。昔懐かしい60〜70年代の映画環境をプログラムごと再現したタランティーノの遊び心。
駒落ちや褪色、フィルムの傷など、いかにもそれらしい演出がアザとい程に効果的。巧いんだな本当見せ方が。ノスタルジーはオヤジの証拠とはいえ、懐古を新しい表現で見せる。オヤジの力技が楽しい。
そう、レティシアファンにはジョアンア・シムカスとシドニー・ポワティエの娘も見逃せない。
原題:Death Proof
監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
製作総指揮:ボブ・ワインスタイン、ハーベイ・ワインスタイン
製作:エリザベス・アベラン、ロバート・ロドリゲス、エリカ・スタンバーグ、クエンティン・タランティーノ
撮影:クエンティン・タランティーノ
美術:スティーブ・ジョイナー
2007年アメリカ映画/1時間53分
配給:ブロードメディア・スタジオ
プリプリしたヒップにピッタリ吸い付いたようなカメラ。廊下を抜けた若い娘がカメラを尻目に部屋のカウチに身を投げる。チープでエロでおバカだが呼吸のいい滑り出し。下に車が止まり、これまた娘が二人降り立つが、一人はおしっこ漏れそうと大慌てで股間を押さえながら階段を足早に駆け上る。それをカメラが執拗にしかも接写で追いかける。何だよこれ、と思う間も無く撮影タランティーノと黄色いクレジット。
タハッ!ったくもう凄いです。人間やりたいことをやりたい様にやるってことはそれだけで充分尊敬に値するが、それがこれだけお下劣なこととなると尊敬より感動だ。
しかも、お下劣を維持したまま面白さが盛り上がって行く。ダレるところはあるがテンションは落ちない。下らないけど目が離せない。下らなさを全的に肯定するカッコよさとも潔さとも、下らなさの純度が高く、しかも極めてシンプル。タランティーノの凄さがキルビルなどよりはるかに良く出ている。とても面白い。
エンドマークが抜群のタイミング。あっけに取られる可笑しさ。いや笑った。1時間20分なら最高だ。
日本とアメリカの違いはあるだろうが、アメリカの田舎町の観客と、まだアメリカが憧れの対象だった時代の日本の観客には共有できる部分もある。場末の2番館、3番館で見た3本立て。昔懐かしい60〜70年代の映画環境をプログラムごと再現したタランティーノの遊び心。
駒落ちや褪色、フィルムの傷など、いかにもそれらしい演出がアザとい程に効果的。巧いんだな本当見せ方が。ノスタルジーはオヤジの証拠とはいえ、懐古を新しい表現で見せる。オヤジの力技が楽しい。
そう、レティシアファンにはジョアンア・シムカスとシドニー・ポワティエの娘も見逃せない。
原題:Death Proof
監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
製作総指揮:ボブ・ワインスタイン、ハーベイ・ワインスタイン
製作:エリザベス・アベラン、ロバート・ロドリゲス、エリカ・スタンバーグ、クエンティン・タランティーノ
撮影:クエンティン・タランティーノ
美術:スティーブ・ジョイナー
2007年アメリカ映画/1時間53分
配給:ブロードメディア・スタジオ
河童のクウと夏休み
江戸時代から蘇った河童の子と、河童を見つけた少年一家との交流。自然と開発。家族の絆。いじめと友情等々、現代社会が抱え込んだ様々な問題が河童のクウに写り込んで、それぞれが丁寧に語られ、おもしろくもありメッセージも明確だが、話を盛り込み過ぎて時間も長い。小さい子には心身ともにかなりの忍耐が要求されることだろう。
キャラクターデザインやアニメーションが下手くそに見えるのは高度な演出なのかどうか分からないが、作画にも動きにも魅力が乏しかった中で、唯一、哀しい身の上も辛い出来事も屁の河童としのいで行く健気なクウがとても良かったのが救いだ。父親との別離の場面、絶妙のニュアンスで発した「とうちゃぁん」の切なさ、キャラクターデザインの可愛いさを生かした冨沢風斗の声の演技が最高にして一番の収穫。
問題提起の重さに対し、クウの平和な生活を暗示させるエンディングのファンタジーな処理はバランスを欠いている。あそこは深刻な環境問題への警鐘という意味からも、駆逐してしまった妖怪達への供養の意味からも、若い世代へのメッセージとしても、開発の魔の手が土の中からいきなり突き出てくるといった、キャリー的な刺激が子ども向けの演出であると引き締まったのに。
監督:原恵一
原作:木暮正夫
脚本:原恵一
音楽:若草恵
出演:田中直樹、西田尚美、なぎら健壱、冨沢風斗、
横川貴大、松元環季 、植松夏希
138分
2007年
キャラクターデザインやアニメーションが下手くそに見えるのは高度な演出なのかどうか分からないが、作画にも動きにも魅力が乏しかった中で、唯一、哀しい身の上も辛い出来事も屁の河童としのいで行く健気なクウがとても良かったのが救いだ。父親との別離の場面、絶妙のニュアンスで発した「とうちゃぁん」の切なさ、キャラクターデザインの可愛いさを生かした冨沢風斗の声の演技が最高にして一番の収穫。
問題提起の重さに対し、クウの平和な生活を暗示させるエンディングのファンタジーな処理はバランスを欠いている。あそこは深刻な環境問題への警鐘という意味からも、駆逐してしまった妖怪達への供養の意味からも、若い世代へのメッセージとしても、開発の魔の手が土の中からいきなり突き出てくるといった、キャリー的な刺激が子ども向けの演出であると引き締まったのに。
監督:原恵一
原作:木暮正夫
脚本:原恵一
音楽:若草恵
出演:田中直樹、西田尚美、なぎら健壱、冨沢風斗、
横川貴大、松元環季 、植松夏希
138分
2007年
夕凪の街 桜の国 こうの史代
アマゾンの箱を開ける。原作は意外にも100ページ程の薄っぺらなもの。普通のマンガ本より紙質が良い。隅々に配慮が行き届いた造本がなされている。薄さもデザインのうちなのだ。帯の裏にはみなもと太郎の推薦文の下に第9回手塚治虫文化新生賞、第8回文化庁メディア芸術祭大賞「W受賞」とポイント数も控え目に表示されている。作者のことも受賞作品もまったく知らなかった。読んだ。映画は原作のイメージにもセリフにも忠実だったと良くわかった。良い映画だが泣かされはしなかったのに、原作にはたった30ページで泣かされた。
映画は良かったが、こっちを先に読んでいたら受け止め方はかなり違っていたと思う。原作素晴らしい。
双葉社
800+税
映画は良かったが、こっちを先に読んでいたら受け止め方はかなり違っていたと思う。原作素晴らしい。
双葉社
800+税
2007/08/28
ベクシル
近未来、機械生命体が支配する鎖国日本にアメリカから特殊部隊が潜入して、というストーリーをフルCGの3Dで描いたアニメ。
「マトリックス」以降の設定としては「マトリックス」を越えるものが見たいし、ましてやアニメならイメージも映像処理にも「マトリックス」以降を感じさせて欲しい。しかし、既視感のある設定やイメージばかリが次々に繰り出される。
モーションキャプチャーで人間の動きは滑らかだが、それが即アニメ的なリアリティーとして感じられるというものでもない。ジャンクな機械生命体の集合した怪物など、砂の惑星のサンドウォームそっくりなのも気になった。
CGを使ってこんな凄いこともできるんだよ、という作り手の意気込みは感じるが、創造性や独自性に乏しく、絵もキャラクターも薄っぺらでまったく楽しめない。絵に血が通わない、生きてない。一言で言うなら、人間が描けてないのだ。
悪党のキャラは明らかに松田優作だが、肖像権クリアしてるのか?
監督:曽利文彦
脚本:半田はるか、曽利文彦
音楽:ポール・オークンフォールド
出演:黒木メイサ、谷原章介、松雪泰子、大塚明夫、櫻井孝宏、森川智之、柿原徹也
2007年日本映画/1時間49分
配給:松竹
「マトリックス」以降の設定としては「マトリックス」を越えるものが見たいし、ましてやアニメならイメージも映像処理にも「マトリックス」以降を感じさせて欲しい。しかし、既視感のある設定やイメージばかリが次々に繰り出される。
モーションキャプチャーで人間の動きは滑らかだが、それが即アニメ的なリアリティーとして感じられるというものでもない。ジャンクな機械生命体の集合した怪物など、砂の惑星のサンドウォームそっくりなのも気になった。
CGを使ってこんな凄いこともできるんだよ、という作り手の意気込みは感じるが、創造性や独自性に乏しく、絵もキャラクターも薄っぺらでまったく楽しめない。絵に血が通わない、生きてない。一言で言うなら、人間が描けてないのだ。
悪党のキャラは明らかに松田優作だが、肖像権クリアしてるのか?
監督:曽利文彦
脚本:半田はるか、曽利文彦
音楽:ポール・オークンフォールド
出演:黒木メイサ、谷原章介、松雪泰子、大塚明夫、櫻井孝宏、森川智之、柿原徹也
2007年日本映画/1時間49分
配給:松竹
遠くの空に消えた
行定勲監督は「GO」が素晴らしかったから、それ以降も「セカチュー」「北の零年」「春の雪」等期待して観てきたが、期待に応えてくれた作品があったかと言えば期待に背く作品ばかりだった。でも、今回は何となく期待できそうじゃん?って気がして観に行った。やっぱりダメだ。しかも「北の零年」並の惨状だ。
企画に7年かけ、子ども目線で描いたか見て欲しいか知らないが、行定監督はどうやら意味不明なことや、ご都合主義や、いい加減なことや、自己満足さえファンタジーであれば通ると思っているらしい。実にファンタジーに対する冒涜と言うしか無いなぁ。
実に2時間24分を使いながら、ZONEのSecret base〜君がくれたもの〜 の5分の感動にも及ばぬ哀しさに、怒りより脱力感が勝る。ほんとにがっかりだ。「GO」の感動は結局クドカンの力に帰すものだったとようやく思い定まった。
監督・脚本:行定勲
撮影:福本淳
美術:山口修
編集:今井剛
出演:神木隆之介 大後寿々花 ささの友間 三浦友和 大竹しのぶ 小日向文世
時間:2時間24分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
編集
企画に7年かけ、子ども目線で描いたか見て欲しいか知らないが、行定監督はどうやら意味不明なことや、ご都合主義や、いい加減なことや、自己満足さえファンタジーであれば通ると思っているらしい。実にファンタジーに対する冒涜と言うしか無いなぁ。
実に2時間24分を使いながら、ZONEのSecret base〜君がくれたもの〜 の5分の感動にも及ばぬ哀しさに、怒りより脱力感が勝る。ほんとにがっかりだ。「GO」の感動は結局クドカンの力に帰すものだったとようやく思い定まった。
監督・脚本:行定勲
撮影:福本淳
美術:山口修
編集:今井剛
出演:神木隆之介 大後寿々花 ささの友間 三浦友和 大竹しのぶ 小日向文世
時間:2時間24分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
編集
納涼大歌舞伎 第三部 裏表先代萩
歌舞伎の様式、演出ってのは、何から何まで判りやすさ至上主義で成り立ったものとつくづく感心させられる。裏表先代萩は時代物と世話物のいいとこ取りで見せ場をまんべんなく並べ、観衆へのサービスに徹した出し物のようで、四幕六場にわたって多彩な演出パターンが繰り出されて、自分のような初心者には最小努力の最大学習経験が得られるお得な演目だった。
幕が開いて、七之助がいきなり花水橋の大立ち回り。花水橋、いつも渡ってる橋なので驚いた。あそこはそんな出来事があったのかと感慨を新たにするまでもない。フィクションなのだ。なーんだ。
勘三郎の達者な小悪党ぶりを楽しんだ後、今度はお世継ぎの乳母に扮した勘三郎を従えた子役二人の、空腹抱えた健気な芝居に会場が大いに湧いた。いや子役の使い方の巧いこと。可愛さたっぷり見せといて、陰謀奸計の渦巻く世界に生きる悲哀を溢れさせる。あざとさに感心もしたが、一番気になったのは、上手の台の上に座った義太夫語りと三味線の二人、正座しているように見せて、実はダミーの膝で身じろぎもせず演じているのが気になってしかたがない。下がるときはどうするかしかと見届けようと思いながら、乳母政岡の勘三郎にすっかり気を取られてる間に見損なってしまった。
福助、扇雀、勘三郎の競演も艶やかなもの。勘三郎は更に余裕で仁木弾正を演じる大活躍でたっぷり楽しませてくれた。ま、多彩過ぎて統一感に欠けたきらいはあったかな。それにしても、平日夜の観劇は疲れる。翌日の仕事に影響しそうなので、今後は週末だけにしとこう。
幕が開いて、七之助がいきなり花水橋の大立ち回り。花水橋、いつも渡ってる橋なので驚いた。あそこはそんな出来事があったのかと感慨を新たにするまでもない。フィクションなのだ。なーんだ。
勘三郎の達者な小悪党ぶりを楽しんだ後、今度はお世継ぎの乳母に扮した勘三郎を従えた子役二人の、空腹抱えた健気な芝居に会場が大いに湧いた。いや子役の使い方の巧いこと。可愛さたっぷり見せといて、陰謀奸計の渦巻く世界に生きる悲哀を溢れさせる。あざとさに感心もしたが、一番気になったのは、上手の台の上に座った義太夫語りと三味線の二人、正座しているように見せて、実はダミーの膝で身じろぎもせず演じているのが気になってしかたがない。下がるときはどうするかしかと見届けようと思いながら、乳母政岡の勘三郎にすっかり気を取られてる間に見損なってしまった。
福助、扇雀、勘三郎の競演も艶やかなもの。勘三郎は更に余裕で仁木弾正を演じる大活躍でたっぷり楽しませてくれた。ま、多彩過ぎて統一感に欠けたきらいはあったかな。それにしても、平日夜の観劇は疲れる。翌日の仕事に影響しそうなので、今後は週末だけにしとこう。
2007/08/26
夕凪の街 桜の国
実直で健気な麻生久美子と品よく控えめな藤村志保の佇まいが美しい。被爆から13年後の広島、この二人が柔らかに演じる母娘の暮らしぶりが丹念に描かれて、当たり前の暮らしを送れることの幸せが観客にしっかり伝わってくる。幸せになることに対する後ろめたさに苦しみ、被爆とは、誰かに死ねばいいと思われたことであり、生き延びたことは、その悪意に晒され続けていることだという麻生久美子のつぶやきには脳天どやされた気がした。麻生久美子のベスト作品だ。
夕凪の街から桜の国へと転調し、田中麗奈の軽快感に中越典子の情緒が適度に絡んで、テーマの重さをサラッと受け止める後半、前半とのコントラストを生かしながら、前へと踏み出そうとする若々しい意志を浮かび上がらせる。前半の言葉は新鮮だった。言い方には工夫がある。原作が名の知れたマンガとは知らなかった。読んでみよう。
監督・脚本 : 佐々部清
原作:こうの史代
出演: 田中麗奈 麻生久美子 吉沢悠 中越典子 伊崎充則 金井勇太 藤村志保 堺正章
編集
夕凪の街から桜の国へと転調し、田中麗奈の軽快感に中越典子の情緒が適度に絡んで、テーマの重さをサラッと受け止める後半、前半とのコントラストを生かしながら、前へと踏み出そうとする若々しい意志を浮かび上がらせる。前半の言葉は新鮮だった。言い方には工夫がある。原作が名の知れたマンガとは知らなかった。読んでみよう。
監督・脚本 : 佐々部清
原作:こうの史代
出演: 田中麗奈 麻生久美子 吉沢悠 中越典子 伊崎充則 金井勇太 藤村志保 堺正章
編集
登録:
投稿 (Atom)