江戸時代から蘇った河童の子と、河童を見つけた少年一家との交流。自然と開発。家族の絆。いじめと友情等々、現代社会が抱え込んだ様々な問題が河童のクウに写り込んで、それぞれが丁寧に語られ、おもしろくもありメッセージも明確だが、話を盛り込み過ぎて時間も長い。小さい子には心身ともにかなりの忍耐が要求されることだろう。
キャラクターデザインやアニメーションが下手くそに見えるのは高度な演出なのかどうか分からないが、作画にも動きにも魅力が乏しかった中で、唯一、哀しい身の上も辛い出来事も屁の河童としのいで行く健気なクウがとても良かったのが救いだ。父親との別離の場面、絶妙のニュアンスで発した「とうちゃぁん」の切なさ、キャラクターデザインの可愛いさを生かした冨沢風斗の声の演技が最高にして一番の収穫。
問題提起の重さに対し、クウの平和な生活を暗示させるエンディングのファンタジーな処理はバランスを欠いている。あそこは深刻な環境問題への警鐘という意味からも、駆逐してしまった妖怪達への供養の意味からも、若い世代へのメッセージとしても、開発の魔の手が土の中からいきなり突き出てくるといった、キャリー的な刺激が子ども向けの演出であると引き締まったのに。
監督:原恵一
原作:木暮正夫
脚本:原恵一
音楽:若草恵
出演:田中直樹、西田尚美、なぎら健壱、冨沢風斗、
横川貴大、松元環季 、植松夏希
138分
2007年