2007/09/24

めがね

「かもめ食堂」のバリエーションのよう。
南の島の民宿で、のたりのたりする時間を礼節ある態度で静かに過ごす人々。かもめ食堂に見られたような物語性もキャラクターの背景など、細部の説明的な要素は一切省かれているが、それを補って余りある、怪優もたいまさこと、もたいの剛球をデリケートでニュアンスに富んだ表情で受けとめる小林聡美。小林聡美のシャツスタイルの数々、もたいまさこの着こなし、市川実日子の洗練を見ているだけでも充分楽しい。光石研の懐が深く心優しさが漂う演技も良いが、加瀬亮のシンプルさも味わい深い。加瀬亮が実にいいなぁ、これからどんどん伸びるだろう。背筋を伸ばした生活の美しさを抑制された演出でファッショナブルかつユーモラスに描いて、後味も良かった。
気になったのは、この世と幽界を行き来する回路を越えて行った人々の霊を慰めるような、ある種、ホラーを思わせるような人物、背景を思わせたこと。もたいと加瀬以外はみんな幽霊でも美しい。

監督・脚本:萩上直子
音楽:金子隆博
出演:小林聡美、市川実日子、加瀬亮、光石研、もたいまさこ、薬師丸ひろ子
2007年日本映画/1時間46分
配給:日活