2007/01/28

ディパーテッド


潜 入捜査官トニーレオン対マフィアに内通した警官アンディー・ラウをディカプリオとマット・デイモンに代えて、「インファナル・アフェア』をマーティン・ス コセッシがリメイクとしたとなれば、香港には悪いが、率直に言って、興味関心はどれだけオリジナルを「凌駕」したかってところにむかう。

舞台を香港からボストンへ移し、アイリッシュマフィアで味付けしているが、基本設定とストーリー展開はほぼオリジナル通り。いつ正体がバレるか分 からないディカプリオの恐れ。上昇志向マット・デイモンのえげつなさ。スコセッシが重量感ある音と映像で支配するのはハラハラドキドキの2時間半。いやー 疲れた。

もともとがあざとい上に荒唐無稽な話だが、香港映画ならではのケレン味たっぷりの映像が乗っかって、結構それらしく見せた作品だった。嘘っぽさX 嘘っぽさ=意外なリアル。といった風な。これに対し、リアリティーを追求するスコセッシの絵作りは抑制されたもので、オリジナルの印象的なシーン、例えば ビルの屋上での美しいショットやタクシーの屋根への落下などもグッと地味な演出で、オリジナルを凌ぐような映像はついぞ見られない。

だからって、ディカプリオ対マット・デイモンがトニーレオン対アンディー・ラウよりリアルさで優れていたかといえばそんなこともなくて、対立する組織内に相互に潜入したネズミのお話としては、それぞれの魅力と面白さを持っている。
まぁ、警察内部でマット・デイモンが出世して行くのが速すぎるのは著しくリアリティを欠いて、無視できない瑕疵ではあるけれどこの際許容しよう。

「インファナル・アフェア」と「ディパーテッド」の相違点としては、内通者の中心にいるマフィアのボスのウエイトを高め、ケレンは全てジャック・ ニコルソンの存在感と芝居に託し、思いっきりの怪演をさせた点にあって、これはスコセッシの新機軸として評価できる。全くジャック・ニコルソンの芝居は大 した見物で、顔面の表情一つ、相手に一瞥をくれるだけで作品に重層感と安定感をも与えている。結局これはディカプリオの作品としてではなく、ジャック・ニ コルソンの映画として見るのが正解だろう。オリジナルも決して凌駕されてはいないのだった。

原題:The Departed
監督:マーティン・スコセッシ
脚本:ウィリアム・モナハン
原案:フェリックス・チョン、アラン・マック
撮影:ミヒャエル・バルハウス
音楽:ハワード・ショア
出演:レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーク・ウォールバーグ
2006年アメリカ映画/2時間32分
配給:ワーナー・ブラザース映画