天下取りと引き換えに、我が子を魔物に差し出した親。親に捨てられ魔物と戦い続ける子供。因果の車輪がぐるりと回り、刃を交える20年目の父と子。
「どろろ」は、親殺し、子殺し、兄妹殺しで幕を開けた2007年の正月映画に相応しいテーマだったんだと気づかされる。手塚治虫師の偉大さを改めて思うし、この映画化を企図した制作者の見識も認めよう。惜しむらくはその見識が作品に反映されていなかったこと。
妻夫木は良かったが、柴咲コウのどろろはきゃんきゃん吠えたててばかりでわざとらしく、鬱陶しいったらありゃしない。あれを良しとし、どこかで見 たようなイメージばかりをつぎはぎしたような演出のセンスは全くいただけない。脚本はかったるいし、情緒的かつ説明的な台詞と凡庸なビジュアルでつないだ 2時間半。その時間とお金があれば、原作漫画を買って読んだ方がよほど意義深い。
出演:妻夫木聡、柴咲コウ、中井貴一、中村嘉葎雄、原田芳雄、
原田美枝子、瑛太、杉本哲太、麻生久美子、土屋アンナ、
脚本:NAKA雅MURA、塩田明彦
監督:塩田明彦
アクション監督:チン・シウトン
プロデューサー:平野隆
原作:手塚治虫
2007年/日本
配給:東宝