2008/05/20

小説現代特別編集「不良読本」

全575ページ 定価1200円也のソフトカバー。
それにしたって今時「不良読本」ってどうよ、なのである。一体どんな読者を想定したものやら。不良なんてなぁ死語もいいとこ、読本に至っては返す言葉も見当たらない。100歩譲ったとして、読者対象から真っ先に外れるのは現役の不良だろ。元不良にしたって、元という以上は立派に更生してる相手に何を今更、不良読本などと失礼にも程がある。

不良という言葉が生きていた頃、ワルにもなれずもてもせず、不自由でかっこわるい不完全燃焼な青春を昇華できぬまま、ついにリタイアの時を迎えることになった、不肖、私のような団塊世代のスクエァなオヤジの感傷に訴えようかという商魂が見え見えの作りなのである。でなければゲッツ板谷の方が余程気が利いている。チョイワルとかいってオヤジを煽て、これを着ろだのあれを持てだのと格好良さを指南するなんて雑誌が結構売れてしまったという、実にどうもべけんやな時代の、チョイワル気取りに恥ずかしさを上塗りするような本なのだ。両手をポケットに突っ込んだショーケンが苦みばしった顔で正面見据えた表紙など、だから、真っ平ご免、スルーが当然。全くお呼びでないのである。が、しかし、ショーケンの頭上に刻みこまれた「傷だらけの天使リターンズ 魔都に天使のハンマーを 矢作俊彦」の太ゴチは一体何!

悪質なんだよなぁ。傷つくんだよなぁこういうの。全575ページのうち正味300pが矢作の分。他は浅田次郎、椎名誠、花村満月等の功成り名を遂げた元不良達のエッセイやら良く知らない不良作家達の短編が並んでいる。何これ。300pもあるんだから文庫でもノベルズでも矢作で出しゃいいじゃん。何でこんな体裁にする必要があんのさ。結局、矢作読みたいばっかりにこんな抱き合わせつかまされる矢作ファンこそいい面の皮なのである。