変な名前ってことでは、例えば吉田戦車や吉本ばなななど、結構なインパクトがあった。しりあがり寿http://www.saruhage.com/ってのも相当変だが、末広がりの言い換えには芸があるし、寿には社会性豊かな常識人の気配が漂う。意味不明な戦車やばななの暴力性に比べ、「しりあがり寿」には良識というか、理知と含羞もほの見える。
この、へたうま派の巨匠がガイドする「マンガ入門」は、若くして漫画家を志して以来、しりあがり寿がどのように生まれ、何を考えどのように漫画を書き続けてきたか、自作の解題を通して語られるその軌跡が、昭和から平成へと変化していく世相とともに、若さから成熟へと真っ当な変化を遂げる作者を確かな輪郭で浮かび上がらせる。それがとても気持ちよく、これがまた格好いい。
「表現したい人のためのマンガ入門」とはいうが、マンガを描くためのHow to本としての効能を期待したら裏切られるだろう。言ってみればマンガを通して物事の普遍的なHow toに迫った野心作。タイトルから言えばむしろ「表現したい人のため」の部分にこの本の眼目がある。表現したい人の、とはつまり、全ての人に向けてという意味だろう。なんと大それた、でもそれだけの面白さはある。
講談社現代新書
2006/08/20
2006/08/13
サイレントヒル

ゲームの映画化ってことで、元のゲームは知らないしホラーも苦手だから見る気はなかったが、絶賛する声が少なくないのが気になって見に行く。行って良かった。
夢遊病の娘がつぶやく言葉に導かれ、サイレントヒルという名のゴーストタウンにたどり着いた母と娘。しかし娘は忽然と姿を消し、母は我が子を取り戻すべく死の街の奥深くに分け入っていく。
元がゲームというだけあって、ゴーストタウンで娘を追うだけのシンプルな設定。ここにヒロインの危機が連続するプロセスもまたゲーム的だが、訳分からないまま葛藤、決断を繰り返し、核心に肉薄していく母親を演じたラダ・ミッチェルの節度、品位、色気のバランスが絶妙な魅力は、まさに映画ならでは。
この監督、語り口も見せ方もセンス抜群。イマジネーション豊かな絵作りが素晴らしい。要所要所でヒロインを脅かすクリーチャー達も、怖さより気色悪さが特徴的だが、何より、観客を背後から驚かすような演出をしていない。そういう刺激を期待すると物足り無く感じるかもしれないが、ビクビクさせられるのは嫌なので全然不満はない。
それより世界の全体像が明らかになるにつれ、アート的な統一感を深めていくビジュアルが、思いがけないイメージとスケールで一気に結晶していくクライマックスの素晴らしいこと。このクライマックスの迫力と美しさに唖然。唖然としながらも、力強さと問答無用のカタルシスに心の中で拍手喝采。
おぞましさと気色悪さを、えげつなくも品位のある映像で見せた、アート風味も魅力なホラー。エピローグの切なさも味わい深い。
原題:Silent Hill
監督:クリストフ・ガンズ
脚本:ロジャー・エイバリー
製作:サミュエル・ハディダ、ドン・カーモディ
撮影:ダン・ローストセン
音楽:ジェフ・ダナ、山岡晃
出演:ラダ・ミッチェル、ショーン・ビーン、デボラ・カーラ・アンガー、ローリー・ホールデン、ジョデル・フェルランド
2006年アメリカ映画/2時間6分
配給:松竹
2006/08/11
こころ
昔、「夏への扉」なんて名作を読んだせいか、夏にはSFが読みたくなる。面白そうなSFを物色するつもりで書店に入ったが、夏休みのキャンペーンで平積みになっていた「こころ」に、「我が輩は主婦である」の楽しかった記憶から思わず手が伸びてしまった。そうだ、これ読んでないし、夏の課題図書にぴったり。価格的にも嬉しい。ちょっと比較したら集英社320円、角川340円、新潮380円。読みやすそうで、何より安い集英社文庫をレジに持って行く。
夏休みの鎌倉海岸、避暑地の退屈をもてあました私の目に映った一人の男。それが先生との出会いだった。高潔だがどこか冷ややかな人柄、不可解な生き方、謎めいた先生と過ごした豊穣の時。不意に訪れる別れと全てを明らかにする手紙。不幸の上に幸せを成り立たせてしまう人間の罪と罰。
そうか、こういうお話だったのか。もっと重苦しくて暗いものと思ってたが、明晰な文章の平明なお話だった。倫理的道徳的なテーマ性からも、若い時により切実な共感をもって読めたら一番だろう。ここに描かれた板挟みには普遍性があると思う一方で、今の時代、若い人達がどの程度のリアルさを実感するものなんだろうかとも思う。
何より、「こころ」に登場する女性達は今日的な説得力に欠けた存在に映らないか。このあたり、今の女性から見てどうなんだろうか。漱石の描く女性達はあまりに封建的な女性観の範囲に納まっている。漱石って、女の人が巧く描けない人だったのね。いやこれは貶してる訳じゃなく、好感している訳ですけど。
我が輩を主婦に乗り移らせたクドカンはいろんな意味で深いなと改めて思った。
夏休みの鎌倉海岸、避暑地の退屈をもてあました私の目に映った一人の男。それが先生との出会いだった。高潔だがどこか冷ややかな人柄、不可解な生き方、謎めいた先生と過ごした豊穣の時。不意に訪れる別れと全てを明らかにする手紙。不幸の上に幸せを成り立たせてしまう人間の罪と罰。
そうか、こういうお話だったのか。もっと重苦しくて暗いものと思ってたが、明晰な文章の平明なお話だった。倫理的道徳的なテーマ性からも、若い時により切実な共感をもって読めたら一番だろう。ここに描かれた板挟みには普遍性があると思う一方で、今の時代、若い人達がどの程度のリアルさを実感するものなんだろうかとも思う。
何より、「こころ」に登場する女性達は今日的な説得力に欠けた存在に映らないか。このあたり、今の女性から見てどうなんだろうか。漱石の描く女性達はあまりに封建的な女性観の範囲に納まっている。漱石って、女の人が巧く描けない人だったのね。いやこれは貶してる訳じゃなく、好感している訳ですけど。
我が輩を主婦に乗り移らせたクドカンはいろんな意味で深いなと改めて思った。
日本沈没
樋口監督、VFX的には気持ちよい絵作りだが、それ以外はとんと魅力がない。
国土消失の危機に瀕して一向に盛り上がらない展開は、ミクロ的にはべたな感傷の大安売りで恥ずかしいし、マクロ的には危機管理のダイナミズムに欠ける。
早い話が、「タイタニック」と「アルマゲドン」を足して4で割ったような、実にどうも、この素材にしてこの料理かと、あまりに安手なドラマ連発の沈没具合に脱力しきりで、泳ぐ気力もなく溺死。
国土消失の危機に瀕して一向に盛り上がらない展開は、ミクロ的にはべたな感傷の大安売りで恥ずかしいし、マクロ的には危機管理のダイナミズムに欠ける。
早い話が、「タイタニック」と「アルマゲドン」を足して4で割ったような、実にどうも、この素材にしてこの料理かと、あまりに安手なドラマ連発の沈没具合に脱力しきりで、泳ぐ気力もなく溺死。
ハチミツとクローバー
5人の美大生の恋愛模様を描いた人気少女マンガの映画化。評判がいいので観にいった。
奇才天才平凡美貌入り乱れた仲良しグループが繰り広げる、全員片想いのトレンディードラマ風ラブコメディー。5人の専攻がそれぞれ絵画、彫刻、建築、陶芸でお洒落方面に強いデザイン科生がいないのはちょいと意外。主人公は天才とうたわれる大学1年生、この少女が抽象画で認められてるって設定はちょっと面白いが弱い。
でも、そうゆー理屈や些細なことは気にしない。スクリーンに映る若く美しく魅力的な俳優達の青春を楽しもう。葛藤や挫折はもれなく青春に付いてくる、オヤジには、それがいくら緩そうに見えたって、当事者にとっちゃ大変なことには違いない。
陶芸専攻山田を演じた関めぐみ、他の4人にそれほどキャラクター的な魅力がない中、ひときわ輝やきが魅力的。素晴らしい。
コメント
奇才天才平凡美貌入り乱れた仲良しグループが繰り広げる、全員片想いのトレンディードラマ風ラブコメディー。5人の専攻がそれぞれ絵画、彫刻、建築、陶芸でお洒落方面に強いデザイン科生がいないのはちょいと意外。主人公は天才とうたわれる大学1年生、この少女が抽象画で認められてるって設定はちょっと面白いが弱い。
でも、そうゆー理屈や些細なことは気にしない。スクリーンに映る若く美しく魅力的な俳優達の青春を楽しもう。葛藤や挫折はもれなく青春に付いてくる、オヤジには、それがいくら緩そうに見えたって、当事者にとっちゃ大変なことには違いない。
陶芸専攻山田を演じた関めぐみ、他の4人にそれほどキャラクター的な魅力がない中、ひときわ輝やきが魅力的。素晴らしい。
コメント
2006/07/29
「アフターダーク」村上春樹
社会は確固としてあり、制度は正しく機能しているように見える。でも、自他との関係性に戸惑い、喪失観を覚えながら世界の確かな手触りを探し求める。「風の歌を聴け」からこっち、村上春樹のテーマは一貫している。デビュー25周年記念を謳った最新作「アフターダーク」も例外でない。
真夜中の大都会。ファミレスで、ラヴホテルで、オフィスで、小さな公園で、様々な眠れぬ理由を抱えた人たちの時間が過ぎていく。
新作はキャラクターもモチーフも村上春樹ならではだが、視点=描写は一新している。これまでのように、主人公の独白から作家が抱いている世界への違和感や評価を読み取ることはできない。おそらく、そうした読まれ方を拒否しようとする立場から、視点は単なる視点とし、純粋なカメラアイとしての描写に徹した今回のスタイルが生み出されたのではないか。
ドキュメント、というより読者に客観を意識させ続けることを第一義としたような文章は、春樹的世界を期待する読者に、そんなものを求めるより、自分の目で世界を観ろと語りかけているようで、そうした気配は、作者特有の比喩も警句もユーモアさえ排除されているところにも感じられる。自分の得意手を封じ込め、表現を革新しようとするのは芸術家の必然でもあるが、そんな作者の姿勢と勇気には敬服しつつ、しかし結果にこれまで以上の成果が認められるかどうかは別の話。
50半ばの作者が20代前半の男女をどう描くか。別にどう描こうが、リアリティーあれば構わない。だが「アルファビル」や「ある愛の詩」を引用する今時の大学生にリアリティーがあるか。特殊すぎないか。オヤジの趣味を今時の若者に語らせるのはかっこ悪いのではないか。スタジャンにベースボールキャップの使い方も、キャラクター的には理解できるが今時どれほどのヤングがナウなファッションとして支持するか疑わしい。そのあたりの説得力の乏しさに、流れ去った時間の長さが映っているようだ。
今までと違う視点を用意したならなら、今までとは違うものが見えてもいい。だが、導入からはロバートワイズを、姉妹には「グロテスク」を、眠り姫と顔なし男には「回路」が連想されるなど、どこかで観たような感じがつきまとうのも気になった。何より読者に客観を強いる割に、作者がをそれほど自分を客観視していないようなのが一番気になった。
とはいいながら、ファンとしては、しっかり楽しんだのも確かなこと。
真夜中の大都会。ファミレスで、ラヴホテルで、オフィスで、小さな公園で、様々な眠れぬ理由を抱えた人たちの時間が過ぎていく。
新作はキャラクターもモチーフも村上春樹ならではだが、視点=描写は一新している。これまでのように、主人公の独白から作家が抱いている世界への違和感や評価を読み取ることはできない。おそらく、そうした読まれ方を拒否しようとする立場から、視点は単なる視点とし、純粋なカメラアイとしての描写に徹した今回のスタイルが生み出されたのではないか。
ドキュメント、というより読者に客観を意識させ続けることを第一義としたような文章は、春樹的世界を期待する読者に、そんなものを求めるより、自分の目で世界を観ろと語りかけているようで、そうした気配は、作者特有の比喩も警句もユーモアさえ排除されているところにも感じられる。自分の得意手を封じ込め、表現を革新しようとするのは芸術家の必然でもあるが、そんな作者の姿勢と勇気には敬服しつつ、しかし結果にこれまで以上の成果が認められるかどうかは別の話。
50半ばの作者が20代前半の男女をどう描くか。別にどう描こうが、リアリティーあれば構わない。だが「アルファビル」や「ある愛の詩」を引用する今時の大学生にリアリティーがあるか。特殊すぎないか。オヤジの趣味を今時の若者に語らせるのはかっこ悪いのではないか。スタジャンにベースボールキャップの使い方も、キャラクター的には理解できるが今時どれほどのヤングがナウなファッションとして支持するか疑わしい。そのあたりの説得力の乏しさに、流れ去った時間の長さが映っているようだ。
今までと違う視点を用意したならなら、今までとは違うものが見えてもいい。だが、導入からはロバートワイズを、姉妹には「グロテスク」を、眠り姫と顔なし男には「回路」が連想されるなど、どこかで観たような感じがつきまとうのも気になった。何より読者に客観を強いる割に、作者がをそれほど自分を客観視していないようなのが一番気になった。
とはいいながら、ファンとしては、しっかり楽しんだのも確かなこと。
2006/07/25
パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト

青い空。紺碧の海。緑のジャングル。
夏休み気分をいっそう盛り上げる美しい風景の中、根性真黒な人間達のエゴと欲望に魔物は目覚めカリブは泡立つ。
なじみのキャラに会えるのは続編ならではの楽しさ。オーランド・ブルームに加わった落ち着きが印象的。
ジョニー・デップのジャック・スパロウ。C調で無責任で露悪的で自己中で助平でいつもふざけていているけど、頼りがいがあって愛嬌があって男気がある人気者。前作ではアカデミー賞にノミネートされた当たり役。ジョニー・デップのキャリアから見れば異色過ぎるキャラだし、海洋冒険活劇映画史上から見ても画期的な変態を、今回はさらなる余裕と貫禄で演じ、完璧に一体化しているように見える。
伸び伸びと楽しげなジョニー・デップが発散するオーラが、画面全体に活力と品位を与えているのは確かで、船長が受け持つコメディー要素の増量、加速感も面白さに拍車をかけている。
デップの怪演と並ぶ、この映画の魅力は、爽快感溢れる海洋シーンと、おぞましくも魅力あるクリーチャー達のCG映像だ。最近ではCGの凄さに驚くこともなくなったが、この作品のキャラクターデザインとCGには、「カーズ」に続いてゾクゾクした。
例えば、デイビー・ジョーンズの生な質感と足毛のデリケートな動き。クラーケンのダイナミックな攻撃力には「海底2万マイル」の伝統も脈打っている。
流石、ILM。新たなVFX工房が続々と名乗りを上げる中、いつしか以前ほどの存在感を示すこともなくなったと思っていたが、老舗の実力というべきか、カリブの海を舞台に、イマジネーションの豊かさ、表現技術の高さを存分に見せつけた映像がとことん素晴らしい。150分の長尺をダレずに見せ切る、タフで、ゴージャスにグラマラスな快作。物語は150%スケールアップ、映像は200%ボリュームアップ(前作比)した欣喜雀躍の面白さ。
が、ストーリーもキャラ造形も、よくぞここまでパクッタなと言うくらいスター・ウォーズ「帝国の逆襲」をきっちりトレースしている。当然、3作目はルーカス対ブラッカイマーの訴訟付き「ジェダイの逆襲」??
原題:Pirates of the Caribbean: Dead Man's Chest
監督:ゴア・バービンスキー
脚本:テッド・エリオット、テリー・ロッシオ
製作:ジェリー・ブラッカイマー
撮影:ダリウス・ウォルスキー
音楽:ハンス・ジマー
出演:ジョニー・デップ、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイ、ビル・ナイ
2006年アメリカ映画/2時間30分
配給:ブエナビスタ
2006/07/15
吾輩は主婦である 最終話
とうとう終わってしまった。
7週目から毎日1エピソード完結の定型を破り、展開に切れ目がなくなった。最終週に入って、吾輩は行方知れず。別れの予感に切なさ盛り上げては、キレたギャグで混ぜっ返す連日の泣き笑い。この無茶苦茶な設定の、それでいてじんわり心に沁みてくるお話の決着を、一体どうつけたものか。最後の最後まで先の読めない展開のまま、あぁー、とうとう全話終了してしまった。
楽しかったなぁ。
ソープオペラでありながら、スクリューボール・コメディーでもある。しかも二人の子供がいる夫婦の純愛!という超絶変化球。漱石に憑依された変な主婦を丸ごと愛して止まない夫と家族と愉快な仲間達。毎日留守録を見続けたこの2ヶ月、つまらなかった日は一度として無かった。
迷いもない、ブレもない、臆面もない。人間観察と表現の妙。心優しくも劇薬成分含んだ台詞。クドカンの紡ぎ出す言葉に演者は輝き、その輝きに視聴者は打たれた。
緩急自在の展開。終盤の伏線が鮮やかに決まり続ける快感。知的で計算し尽くされた骨格に、情緒豊かな肉付けも見事な脚本。行き届いた心配りも刺激的なドラマでした。来週が淋しい。
期待に違わずそれ以上の、またもや宮藤先生にはいいもんみせてもらった。ありがとう。それにつけても、大人計画のなまはげとももえ、よかったなぁ。
7週目から毎日1エピソード完結の定型を破り、展開に切れ目がなくなった。最終週に入って、吾輩は行方知れず。別れの予感に切なさ盛り上げては、キレたギャグで混ぜっ返す連日の泣き笑い。この無茶苦茶な設定の、それでいてじんわり心に沁みてくるお話の決着を、一体どうつけたものか。最後の最後まで先の読めない展開のまま、あぁー、とうとう全話終了してしまった。
楽しかったなぁ。
ソープオペラでありながら、スクリューボール・コメディーでもある。しかも二人の子供がいる夫婦の純愛!という超絶変化球。漱石に憑依された変な主婦を丸ごと愛して止まない夫と家族と愉快な仲間達。毎日留守録を見続けたこの2ヶ月、つまらなかった日は一度として無かった。
迷いもない、ブレもない、臆面もない。人間観察と表現の妙。心優しくも劇薬成分含んだ台詞。クドカンの紡ぎ出す言葉に演者は輝き、その輝きに視聴者は打たれた。
緩急自在の展開。終盤の伏線が鮮やかに決まり続ける快感。知的で計算し尽くされた骨格に、情緒豊かな肉付けも見事な脚本。行き届いた心配りも刺激的なドラマでした。来週が淋しい。
期待に違わずそれ以上の、またもや宮藤先生にはいいもんみせてもらった。ありがとう。それにつけても、大人計画のなまはげとももえ、よかったなぁ。
2006/07/02
カーズ

「カーズ」初日。心待ちにしていた1本。夫婦50割引なら安いが、今日はそんな気分ではなくレイトショーまで待って出かけた。そしたら何と、今日は映画の日で一律1000円。なんか釈然としない。
そんな気分も前座の短編で有散霧消。二人の大道芸人が子供からおひねりを得ようと芸を披露するが決着がつかず、技をエスカレートさせながら際限の無いバトルに突入して行く。シックなビジュアルにエスプリを効かせたお洒落なコント。ピクサー恒例のオマケ短編が今回も又、憎いくらいに和ませてくれる。
本編の「カーズ」。ピクサーが、これまでに生み出して来た魅力あるキャラクターやストーリーの数々。それらに比べて、更に魅力と面白さを増したこの車達。
「ルート66」沿いの、時代に取り残された小さな街「ラジエーター・スプリングス」!を舞台に、マックイーンやロック・ハドソンなどと呼ばれる車達が、表情と動きの絶妙さで繰り広げるハートウォームなドラマ。乾いた風景と好一対のピクサーらしい叙情が心地よい。
空気の深さが存分に表現された風景描写が見事。60年代の輝きがノスタルジックに甦える「ラジエーター・スプリングス」の美しさ。老人から子供まで、誰もがそれぞれの経験を通して車達の姿を受け止め、楽しむことができることだろう。
傑作。
インサイドマン
スパイク・リーが豪華キャストで演出した犯罪映画。期待するなってのは無理ってもんだ。当然見るっきゃない。
マンハッタンに白昼堂々の銀行強盗。人質を盾に隙を見せない犯人。翻弄される捜査陣。後手に回る人質救出。政治的な圧力に混迷を深める中、意表を突く動きで状況を支配し続ける犯人達。
ニューヨーク市警のやり手警部デンゼル・ワシントン。完全犯罪を目論むクライブ・オーウェン。政治的な介入を図る弁護士ジョディ・フォスター。曰くありげな頭取クリストファー・プラマー。SWAT隊長ウィレム・デフォー
役者達は自分のやるべきこと充分わきまえ、余裕と貫禄で演じている。中でもクリストファー・プラマーとジョディ・フォスターは、予定調和的だが、だとしても見事な演技合戦だ。
デンゼル・ワシントンはことさらマッチョなキャラクターを演じている。リーの作品だし、伸び伸びと楽しそうで手応えも伝わってくるが、これだけキャリアを積み上げ、大物感を増した今となっては、このマッチョ振りは演じ過ぎでちょっと痛かった。
脚本は良く練り上げられている。演出も緻密で、先の読めない展開にハラハラ、ドキドキは必要充分。謎もサプライズもしっかり用意されている。観客をハイレベルなもてなしを約束してくれる映画だ。面白いし楽しめる。
しかし、核に据えられた罪と罰、理屈としては分かるが今日性に欠けている。なんつーか、この作品の緻密さとは、結局机上で、頭の中で捏ね上げられただけのものと、一瞬に明らかにされたような気分にさせられた。こういうサプライズは困る。
原題:Inside Man
監督:スパイク・リー
脚本:ラッセル・ジェウィルス
製作:ブライアン・グレイザー
撮影:マシュー・リバティック
音楽:テレンス・ブランチャード
2006年アメリカ映画/2時間8分
配給:UIP
マンハッタンに白昼堂々の銀行強盗。人質を盾に隙を見せない犯人。翻弄される捜査陣。後手に回る人質救出。政治的な圧力に混迷を深める中、意表を突く動きで状況を支配し続ける犯人達。
ニューヨーク市警のやり手警部デンゼル・ワシントン。完全犯罪を目論むクライブ・オーウェン。政治的な介入を図る弁護士ジョディ・フォスター。曰くありげな頭取クリストファー・プラマー。SWAT隊長ウィレム・デフォー
役者達は自分のやるべきこと充分わきまえ、余裕と貫禄で演じている。中でもクリストファー・プラマーとジョディ・フォスターは、予定調和的だが、だとしても見事な演技合戦だ。
デンゼル・ワシントンはことさらマッチョなキャラクターを演じている。リーの作品だし、伸び伸びと楽しそうで手応えも伝わってくるが、これだけキャリアを積み上げ、大物感を増した今となっては、このマッチョ振りは演じ過ぎでちょっと痛かった。
脚本は良く練り上げられている。演出も緻密で、先の読めない展開にハラハラ、ドキドキは必要充分。謎もサプライズもしっかり用意されている。観客をハイレベルなもてなしを約束してくれる映画だ。面白いし楽しめる。
しかし、核に据えられた罪と罰、理屈としては分かるが今日性に欠けている。なんつーか、この作品の緻密さとは、結局机上で、頭の中で捏ね上げられただけのものと、一瞬に明らかにされたような気分にさせられた。こういうサプライズは困る。
原題:Inside Man
監督:スパイク・リー
脚本:ラッセル・ジェウィルス
製作:ブライアン・グレイザー
撮影:マシュー・リバティック
音楽:テレンス・ブランチャード
2006年アメリカ映画/2時間8分
配給:UIP
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