評判良いので見たかったが、単館公開で諦めていたところ、近くのシネコンに掛かったので見にいった。
ヘルシンキで日本食堂を開いた3人の女性の話、という予備知識だけでは内容の見当もつかなかったが、映画が始まり、かもめ食堂が映し出されると、その外観がえらくカッコいい。なるほどそうか、ヘルシンキったら北欧デザインの本場ではないか。
おにぎりがメインのかもめ食堂。開店はしたが客は来ない。それでもオーナーの小林聡美は泰然自若。きちんと仕事をしていればいつか道は開ける。という信念のもと、慌てず騒がずグラス磨きに余念がない。店内はシンプルな北欧家具。きれいに整頓された厨房にも、形の良い調理器具がバランス良く並んでいる。そこに片桐はいりが加わり、もたいまさこが登場し、いくつかのトラブルがかもめ食堂を通過して行く。
特に大事件がある訳でもなく、ストーリーが何かを伝えることも無い。キチンとした姿勢できちんとした仕事をして、毎日を健康に暮らすことの気持ち良さを丁寧に描いている。この作品の言わんとしていることは誠によくわかる。単に生活様式に留まらず、今や人生そのものがデザインの対象となる時代だ。だけどさ、整理整頓が苦手、だらしなくて、明日やれることは今日しないというのが生まれながらの我が身とすれば、小林聡美のスタイルは眩しすぎ。
3人の女性は姿勢よくそれぞれ魅力的な個性を演じている。親しき仲にも礼節をわきまえた3人の距離感も気持ちがいい。大胆なテキスタイルの衣装を苦もなく着こなしたもたいまさこの迫力と存在感が素晴らしい。
デザインということにこれだけ焦点を合わせたつくりは新鮮だし、隅から隅まで計算とデザインが行き届いていて気持ちがいい。「クロワッサン」的といったらいいだろうか。