2007/04/29

ハンニバル・ライジング


映画化率120%のトマス・ハリスだが、「羊たちの沈黙」を越えたものはない。「ハンニバル」だって、アンソニー・ホプキンスが出ているだけではダメだったのである。レクターと拮抗するクラリス・スターリングの魅力に、残念ながらジュリアン・ムーアでは届かなかったのである。

「ハンニバル・ライジング」ではクラリス・スターリングに匹敵するキャラクターとして用意されているのが、若きハンニバルが憧憬してやまない庇護者紫夫人その人。日本文化を体現した神秘性と美しさでハンニバルに影響を与えた女性に紫夫人というネーミングはどうなのと言いたいが、式部があるんだから夫人だっておかしくは無かろうと言われれば、そうかも知れないと思う。これも文字情報ならではのことで、映像となるとそうはいかない。

紫夫人、コン・リーなのである。このキャスティングは違うだろ。気品と雅さ、東洋の神秘を身にまとうキャラじゃ無いだろうコン・リー。それだけじゃないのである。映像化された紫夫人の日本趣味はリアルでもなければ美しくもない、怪しいだけの虚仮威し。実にどーもなのである。

トマス・ハリスの脚本は、ハンニバルの育ちの部分をカットした以外、ほぼ原作通りだが、この映像化はとにもかくにも下品であまりに安手の仕上がりだ。これがトマス・ハリスの日出ずる国へのイメージ通りなら、ハンニバルのライジングは相当情けない。

原題:HANNIBAL RISING
製作:2007年イギリス/チェコ/フランス/イタリア
時間:2時間1分
配給:東宝東和

監督:ピーター・ウェーバー
脚本・原作:トマス・ハリス
撮影:ベン・デイビス
衣装:アンナ・シェパード
音楽:アイラン・エシュケリ / 梅林茂
キャスト
ギャスパー・ウリエル コン・リー リス・エヴァンズ 
ケビン・マクキッドドミニク・ウェスト リチャード・ブレイク 
カラー/スコープサイズ/ドルビーSRD