2008/03/08

ジャンパー

心の通わぬ父との二人暮らし。粗暴なクラスメートが幅をきかせる学校。居心地の悪い毎日を送るデイビットにある日発現した瞬間移動の能力。ジャンパーとなったデイビットは、過去を振り捨て自由気ままな生活を手に入れる。しかし、ジャンパーを人類の敵とし、その抹殺を目的とする秘密組織パラディンが存在することをデイビットは知らなかった。

半村良的な伝奇SFが楽しめるかと期待したが、パラディンはジャンパーを駆り立てるだけでその特殊能力を利用しようとしたりせず、神だけが持つべき力だと、捕まえたジャンパーを惜しげもなく殺すだけという徹底振り。伝奇は設定だけで中身は面倒なことは抜きに、シンプルな追っかけアクションなのだった。

ヘイデン君とサムエル・L・ジャクソンというフォース使い同士にリトル・ダンサーのジェイミー・ベルが絡んで、瞬間移動の不規則な跳躍飛躍の繰り返しから変なリズムの面白いアクションシーンが生まれた。瞬間移動もエンタープライズの「転送」のような滑らかさとは無縁で、抵抗感ある空間や壁を強引にぶち抜いていく。この無理矢理感がユーモラスで楽しく、ジャンパーのワイルドさも合っている。

青春映画を軸に、いろいろな要素を組み込んで、誰にでも楽しめるよう工夫したサービス精神と、最近には珍しい短時間の決着に好感を持った。東京のロケシーンも楽しい。

ジャンパーの特殊能力を単におもちゃとしてしか利用しない脚本は一つの見識だが、伝奇SF好みとしては、政治的な陰謀に利用したりするお話も楽しいと思うのだ。ジャンパーを秘密兵器として利用しようとする秘密組織パラディンとジャンパーの暗闘、TVシリーズには格好の素材じゃなかろうか。

原題:Jumper
監督:ダグ・リーマン
脚本:デビッド・S・ゴイヤー、サイモン・キンバーグ、ジム・ウールズ
原作:スティーブン・グールド
撮影:バリー・ピーターソン
音楽:ジョン・パウエル
2008年アメリカ映画/1時間28分