2008/03/09

バンテージ・ポイント

いや、たまげた。なにこれ、めちゃくちゃ面白いじゃん。

テロ撲滅のサミットを主導した米大統領が大観衆の眼前で狙撃される。厳しい対応を迫られるシークレットサーヴィスをあざ笑うかのように爆弾が炸裂して修羅場と化す会場。TVカメラが全てを捉えた20分間の出来事。それを目撃した人々の視点から浮かび上がる事件の全貌。

護衛官の体を張った仕事ぶりで最近話題のTVシリーズだった「SP」。一つの出来事を、時間を巻き戻して別の角度から描き、表・裏と称した「木更津キャッツアイ」。まるでこの二つを合わせて1本作ったような感じの作品。木更津キャッツでは1回だけだった巻き戻しを、ここは4回5回と繰り返し全体を検証していく。その過程が実に手が込んでいる。

多彩なキャラクターと行動にいくつもの謎と伏線がちりばめられ、伏線が別の伏線をセットする。20分間の出来事をバリエーション豊かな構成が、観客の好奇心を間断なく刺激する。躊躇や逡巡とは無縁なアクションが画面をキリリと引き締める。ド迫力の追っかけにハラハラドキドキ感が増していく。
頭と身体への心地よい刺激。このマーベラスな脚本と、エクセレントな演出とで緊張感漲った鳥肌もんの映像した才能に刮目。

ウイリアム・ハートの大統領にデニス・クエイドのシークレットサーヴィス。ほんとに地味なキャスティングだが、年齢に似合わずやることは派手。デニス・クエイドがこんなに興奮させてくれるなんて誰が予想できただろう。ウイリアム・ハートの大統領は素晴らしいし、他のキャスティングも完璧。

クライマックスに向けて全てが収斂していく様は、不審な点もあるが、やはり見事な作劇だ。9.11以降の問題を提示した暴力描写もわかりやすく示唆に富んでいる。最高級のサスペンスアクションを楽しませてもらった満足感。上等なミステリを読んだ充実感もある。傑作。ミステリファンに是非勧めたい。


原題:Vantage Point
監督:ピート・トラビス
脚本:バリー・レビ
製作総指揮:アンドレア・ジアネッティ、カラム・グリーン、タニア・ランドゥー、アダム・ミラノ
製作:ニール・H・モーリッツ
撮影:アミール・M・モクリ
音楽:アオリ・ウバーソン
美術:ブリジット・ブロック
出演:デニス・クエイド、マシュー・フォックス、フォレスト・ウィテカー、エドゥアルド・ノリエガ、エドガー・ラミレス、シガニー・ウィーバー、ウィリアム・ハート
2008年アメリカ映画/1時間30分
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント