2008/03/21

三月大歌舞伎 夜の部

墓の周りをさっと清め、花を供え線香をあげ手を合わせ簡潔に墓参をすませる。滞在時間はいつもより短いのにこの充実感は、何より降りしきる冷たい雨のせいだな。お寺さんを後に途中買い物などしながら歌舞伎座夜の部に行く。

一 鈴ヶ森(すずがもり)
暗闇で雲助に襲われた白井権八(芝翫)が雲助達を片っ端から切り倒していく。だんまりで見せる切り合い。スパッとそがれパックリ割れる顔面やら、切り落とされる腕や足、袈裟がけに開く刀傷、貫胴で伸びる上半身など、ユーモアとスプラッターで見せる残忍な場面の奇妙な味わい。 芝翫の白井権八は強いというより可愛いという感じがぴったりなのだが、そうしたこと全てひっくるめて楽しもうとする歌舞伎の懐の深さ、成熟みたいなことも思う。

二、坂田藤十郎喜寿記念
  京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)
坂田藤十郎は凄い。喜寿とは思えぬ若さと輝き。毎晩この華やかな大舞台を一人で背負って立っているのだ。去年の「合邦ヶ辻」とは別人のキャラになりきっているのにもビックリ。終わりに登場した市川團十郎の、目一杯目を剥いた大見得もご祝儀感たっぷりで大変結構。

三、江戸育お祭佐七(えどそだちおまつりさしちり)
  浄瑠璃「道行旅路の花聟」
菊五郎と時蔵は熱演だし時蔵は大好きだが、いかんせんお話に魅力がない。藤十郎の素晴らしい舞台をどうしてこんな陰惨な出し物で挟み込めたものか、喜寿のお祝い気分には無縁の番組編成にちょっと白ける。

今日は大向こうのかけ声も、間の悪い人がやたと声を張り上げて気持ちが悪かった。