分ち難く結びついた父娘を描いた直木賞受賞の話題作。
娘の婚礼からさかのぼって親子の過去を明らかにいくという構成は、近親相姦というアンモラルに、つい好奇や嫌悪が入り交じる普通な読者の複雑な心理を読み切った、作者の老練手練れぶりを示している。同様に、腐野淳悟と花という親子のふざけた名前にも、作者の度胸とセンスの良さが感じられる。
しかも、この父親が抜群に良いのだ。長身痩躯、笑うと愛嬌があるが孤独、虚無的な横顔と雨が匂うような体臭、優雅で腕も立つ海の男。そんな男いるかっ!ってなものだが、作者の筆には説得力がある。いるのである。この父親に較べたら、娘の方は取り立てて特徴がないが、それで良いのだ。
ネット書評や直木賞の選評、スキャンダラスなテーマなどから、公序良俗、世俗の常識に棹さす新しさ、前衛性みたいなものを予想していたから、この若くして頽廃のかげを宿した腐野淳悟というかっこいい男が、純粋、究極の愛を求めるが故に身を持ち崩していく一部始終を、ロマンティックにミステリアスに展開する作者の、徹頭徹尾エンターテインメントに照準した姿勢と手法の口当たりの良さは結構意外だ。
口当たりの良さで言えば、風俗や時事ネタの取り込み方でリアリティを盛り上げる巧さや、既成のイメージを効率よく利用する手管の良さにも感心する。しかし、あまりにも通俗的なイメージに依存していて新鮮な驚きや発見に乏しい。同じことはキャラクター造形にも感じられ、周辺の人物や関係は類型的で全体に深みにかけている。
面白くはあるが、何というか、混み合った女性専用車両にそうとは知らず紛れ込んだような居心地の悪さというか、もっと違う種類のガツンとくるものが欲しかったので何となく欲求不満だ。絵空事をリアルに見せる腕前に優れていると思わせる作者だが、他の作品も女性専用車なのかもう1冊確かめてみたい。
桜庭 一樹著
税込価格 : ¥1,550 (本体 : ¥1,476)
国内送料無料でお届けできます
出版 : 文藝春秋
サイズ : 20cm / 381p
ISBN : 978-4-16-326430-1
発行年月 : 2007.10
2008/03/13
2008/03/10
国立劇場 3月歌舞伎鑑賞教室
「歌舞伎へのいざない」と題した鑑賞教室。前半は「鷺娘」のさわりなど織り込みながら歌舞伎の成り立ちや舞台裏を分かりやすく紹介した入門講座。短いなかにも趣向がこらされ、解説の澤村宗之助も良い感じで楽しかった。 後半は阿倍清明が狐から生まれたという伝説を哀切な子別れで見せる「芦屋道満大内鑑 」葛の葉。狐と人間の早変わりや、物の化ならではのテクニックで障子に書をしたためる曲書きなど、ケレン味たっぷりの舞台が期待できる。ってことで、仕事休んで真昼間の芝居見物。
2月の歌舞伎座で見たお軽が軽薄な感じで可愛かった中村芝雀が今度は愛情豊かな狐の母親になりきって、若干可愛いかと思うがほとんど貫禄たっぷり。狐と契った夫の安倍保名には中村種太郎という若手。とても一生懸命やっているのだが、芝雀の貫禄とはまるで釣り合わない軽量ぶり。全然夫婦になんて見えなくて全体のリアリティーも損なわれた。芝雀も、前半はともかく後半、狐の正体現してからの早変わりや曲書きの見せ場には、何かもの足りない感がつきまとう。華やかさなのか、物の怪の妖気か分からないが、サムシングがナッシングでαがマイナスのまま終演。あぁ「葛の葉」ってこんなもんなのか。面白くなかったぞ。うーん、若手の修練を見守るのも一興というような見功者にはなれそうも無いのだなぁ。
解説 ようこそ歌舞伎へ 澤村 宗之助
竹田出雲=作
芦屋道満大内鑑 −葛の葉−
第一場 安倍保名内機屋の場
第二場 同 奥座敷の場
2月の歌舞伎座で見たお軽が軽薄な感じで可愛かった中村芝雀が今度は愛情豊かな狐の母親になりきって、若干可愛いかと思うがほとんど貫禄たっぷり。狐と契った夫の安倍保名には中村種太郎という若手。とても一生懸命やっているのだが、芝雀の貫禄とはまるで釣り合わない軽量ぶり。全然夫婦になんて見えなくて全体のリアリティーも損なわれた。芝雀も、前半はともかく後半、狐の正体現してからの早変わりや曲書きの見せ場には、何かもの足りない感がつきまとう。華やかさなのか、物の怪の妖気か分からないが、サムシングがナッシングでαがマイナスのまま終演。あぁ「葛の葉」ってこんなもんなのか。面白くなかったぞ。うーん、若手の修練を見守るのも一興というような見功者にはなれそうも無いのだなぁ。
解説 ようこそ歌舞伎へ 澤村 宗之助
竹田出雲=作
芦屋道満大内鑑 −葛の葉−
第一場 安倍保名内機屋の場
第二場 同 奥座敷の場
ライラの冒険 黄金の羅針盤
ダストという、シュタイナーのエーテル体を連想させるエネルギーでつながるパラレルワールド。人はそれぞれが動物の姿をした守護精霊とともに平和に暮らしている。こんな感じで始まる豪華キャスティングもうれしい話題作。
月並みを言えば、ファンタジーの主人公には不遇の時間が不可欠。アヒルから白鳥に、灰かぶりからシンデレラに、ハリーだってマグルにいじめられる時間があればこそのカタルシス。しかし、ライラは始めから選ばれし者として差別化され、特別な者として扱われているので化ける花開くという変身のカタルシスは無い。ライラを演じる子はそれに相応しい威厳と気品とで良くやっているのは大したもので、作品に恵まれればもっと魅力的だろう。
しかし、ライラは強さがストレートで観客は感情移入の余地が少ない。その分をカバーする弱さや愛嬌がファンタジー的には欲しかったと思うが、あくまでファンタジーとして見れば、ということであって、単に冒険活劇と思えば何の問題もない。そういえば黄金の羅針盤をライラが使う様子は、機能的にもラプトップのパソコンでグーグル検索しているように見えてしょうがない。
展開はよどみなく、キャラも多彩だ。ライラが難局を乗り越え様々な冒険をする様を次々と見せられるのだが、話が進むほどに白けた気分になる。全然盛り上がらないし面白くならない。脚本も演出もCGもおよそ惹きつけるものが無く、作り手が何を面白いと思って作っているのか一向に伝わってこないのだ。
だったらぐっすり眠るか席を立つかすれば良かっただけのことだが、そうならなかったのはひとえに、低年齢なお子様向けな内容の中、悪のナンバー2を楽しげに演じたニコール・キッドマンの、突出して大人向けな艶やかさの故だ。
原題:The Golden Compass
監督・脚本:クリス・ワイツ
製作総指揮:ボブ・シェイ、マイケル・リン、トビー・エメリッヒ、アイリーン・マイゼル、アンドリュー・ミアノ、ポール・ワイツ
製作:デボラ・フォート、ビル・カラッロ
原作:フィリップ・プルマン
撮影:ヘンリー・ブラハム
音楽:アレクサンドル・デスプラ
美術:デニス・ガスナー
2007年アメリカ・イギリス合作映画/1時間52分
月並みを言えば、ファンタジーの主人公には不遇の時間が不可欠。アヒルから白鳥に、灰かぶりからシンデレラに、ハリーだってマグルにいじめられる時間があればこそのカタルシス。しかし、ライラは始めから選ばれし者として差別化され、特別な者として扱われているので化ける花開くという変身のカタルシスは無い。ライラを演じる子はそれに相応しい威厳と気品とで良くやっているのは大したもので、作品に恵まれればもっと魅力的だろう。
しかし、ライラは強さがストレートで観客は感情移入の余地が少ない。その分をカバーする弱さや愛嬌がファンタジー的には欲しかったと思うが、あくまでファンタジーとして見れば、ということであって、単に冒険活劇と思えば何の問題もない。そういえば黄金の羅針盤をライラが使う様子は、機能的にもラプトップのパソコンでグーグル検索しているように見えてしょうがない。
展開はよどみなく、キャラも多彩だ。ライラが難局を乗り越え様々な冒険をする様を次々と見せられるのだが、話が進むほどに白けた気分になる。全然盛り上がらないし面白くならない。脚本も演出もCGもおよそ惹きつけるものが無く、作り手が何を面白いと思って作っているのか一向に伝わってこないのだ。
だったらぐっすり眠るか席を立つかすれば良かっただけのことだが、そうならなかったのはひとえに、低年齢なお子様向けな内容の中、悪のナンバー2を楽しげに演じたニコール・キッドマンの、突出して大人向けな艶やかさの故だ。
原題:The Golden Compass
監督・脚本:クリス・ワイツ
製作総指揮:ボブ・シェイ、マイケル・リン、トビー・エメリッヒ、アイリーン・マイゼル、アンドリュー・ミアノ、ポール・ワイツ
製作:デボラ・フォート、ビル・カラッロ
原作:フィリップ・プルマン
撮影:ヘンリー・ブラハム
音楽:アレクサンドル・デスプラ
美術:デニス・ガスナー
2007年アメリカ・イギリス合作映画/1時間52分
2008/03/09
バンテージ・ポイント
いや、たまげた。なにこれ、めちゃくちゃ面白いじゃん。
テロ撲滅のサミットを主導した米大統領が大観衆の眼前で狙撃される。厳しい対応を迫られるシークレットサーヴィスをあざ笑うかのように爆弾が炸裂して修羅場と化す会場。TVカメラが全てを捉えた20分間の出来事。それを目撃した人々の視点から浮かび上がる事件の全貌。
護衛官の体を張った仕事ぶりで最近話題のTVシリーズだった「SP」。一つの出来事を、時間を巻き戻して別の角度から描き、表・裏と称した「木更津キャッツアイ」。まるでこの二つを合わせて1本作ったような感じの作品。木更津キャッツでは1回だけだった巻き戻しを、ここは4回5回と繰り返し全体を検証していく。その過程が実に手が込んでいる。
多彩なキャラクターと行動にいくつもの謎と伏線がちりばめられ、伏線が別の伏線をセットする。20分間の出来事をバリエーション豊かな構成が、観客の好奇心を間断なく刺激する。躊躇や逡巡とは無縁なアクションが画面をキリリと引き締める。ド迫力の追っかけにハラハラドキドキ感が増していく。
頭と身体への心地よい刺激。このマーベラスな脚本と、エクセレントな演出とで緊張感漲った鳥肌もんの映像した才能に刮目。
ウイリアム・ハートの大統領にデニス・クエイドのシークレットサーヴィス。ほんとに地味なキャスティングだが、年齢に似合わずやることは派手。デニス・クエイドがこんなに興奮させてくれるなんて誰が予想できただろう。ウイリアム・ハートの大統領は素晴らしいし、他のキャスティングも完璧。
クライマックスに向けて全てが収斂していく様は、不審な点もあるが、やはり見事な作劇だ。9.11以降の問題を提示した暴力描写もわかりやすく示唆に富んでいる。最高級のサスペンスアクションを楽しませてもらった満足感。上等なミステリを読んだ充実感もある。傑作。ミステリファンに是非勧めたい。
原題:Vantage Point
監督:ピート・トラビス
脚本:バリー・レビ
製作総指揮:アンドレア・ジアネッティ、カラム・グリーン、タニア・ランドゥー、アダム・ミラノ
製作:ニール・H・モーリッツ
撮影:アミール・M・モクリ
音楽:アオリ・ウバーソン
美術:ブリジット・ブロック
出演:デニス・クエイド、マシュー・フォックス、フォレスト・ウィテカー、エドゥアルド・ノリエガ、エドガー・ラミレス、シガニー・ウィーバー、ウィリアム・ハート
2008年アメリカ映画/1時間30分
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
テロ撲滅のサミットを主導した米大統領が大観衆の眼前で狙撃される。厳しい対応を迫られるシークレットサーヴィスをあざ笑うかのように爆弾が炸裂して修羅場と化す会場。TVカメラが全てを捉えた20分間の出来事。それを目撃した人々の視点から浮かび上がる事件の全貌。
護衛官の体を張った仕事ぶりで最近話題のTVシリーズだった「SP」。一つの出来事を、時間を巻き戻して別の角度から描き、表・裏と称した「木更津キャッツアイ」。まるでこの二つを合わせて1本作ったような感じの作品。木更津キャッツでは1回だけだった巻き戻しを、ここは4回5回と繰り返し全体を検証していく。その過程が実に手が込んでいる。
多彩なキャラクターと行動にいくつもの謎と伏線がちりばめられ、伏線が別の伏線をセットする。20分間の出来事をバリエーション豊かな構成が、観客の好奇心を間断なく刺激する。躊躇や逡巡とは無縁なアクションが画面をキリリと引き締める。ド迫力の追っかけにハラハラドキドキ感が増していく。
頭と身体への心地よい刺激。このマーベラスな脚本と、エクセレントな演出とで緊張感漲った鳥肌もんの映像した才能に刮目。
ウイリアム・ハートの大統領にデニス・クエイドのシークレットサーヴィス。ほんとに地味なキャスティングだが、年齢に似合わずやることは派手。デニス・クエイドがこんなに興奮させてくれるなんて誰が予想できただろう。ウイリアム・ハートの大統領は素晴らしいし、他のキャスティングも完璧。
クライマックスに向けて全てが収斂していく様は、不審な点もあるが、やはり見事な作劇だ。9.11以降の問題を提示した暴力描写もわかりやすく示唆に富んでいる。最高級のサスペンスアクションを楽しませてもらった満足感。上等なミステリを読んだ充実感もある。傑作。ミステリファンに是非勧めたい。
原題:Vantage Point
監督:ピート・トラビス
脚本:バリー・レビ
製作総指揮:アンドレア・ジアネッティ、カラム・グリーン、タニア・ランドゥー、アダム・ミラノ
製作:ニール・H・モーリッツ
撮影:アミール・M・モクリ
音楽:アオリ・ウバーソン
美術:ブリジット・ブロック
出演:デニス・クエイド、マシュー・フォックス、フォレスト・ウィテカー、エドゥアルド・ノリエガ、エドガー・ラミレス、シガニー・ウィーバー、ウィリアム・ハート
2008年アメリカ映画/1時間30分
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2008/03/08
ジャンパー
心の通わぬ父との二人暮らし。粗暴なクラスメートが幅をきかせる学校。居心地の悪い毎日を送るデイビットにある日発現した瞬間移動の能力。ジャンパーとなったデイビットは、過去を振り捨て自由気ままな生活を手に入れる。しかし、ジャンパーを人類の敵とし、その抹殺を目的とする秘密組織パラディンが存在することをデイビットは知らなかった。
半村良的な伝奇SFが楽しめるかと期待したが、パラディンはジャンパーを駆り立てるだけでその特殊能力を利用しようとしたりせず、神だけが持つべき力だと、捕まえたジャンパーを惜しげもなく殺すだけという徹底振り。伝奇は設定だけで中身は面倒なことは抜きに、シンプルな追っかけアクションなのだった。
ヘイデン君とサムエル・L・ジャクソンというフォース使い同士にリトル・ダンサーのジェイミー・ベルが絡んで、瞬間移動の不規則な跳躍飛躍の繰り返しから変なリズムの面白いアクションシーンが生まれた。瞬間移動もエンタープライズの「転送」のような滑らかさとは無縁で、抵抗感ある空間や壁を強引にぶち抜いていく。この無理矢理感がユーモラスで楽しく、ジャンパーのワイルドさも合っている。
青春映画を軸に、いろいろな要素を組み込んで、誰にでも楽しめるよう工夫したサービス精神と、最近には珍しい短時間の決着に好感を持った。東京のロケシーンも楽しい。
ジャンパーの特殊能力を単におもちゃとしてしか利用しない脚本は一つの見識だが、伝奇SF好みとしては、政治的な陰謀に利用したりするお話も楽しいと思うのだ。ジャンパーを秘密兵器として利用しようとする秘密組織パラディンとジャンパーの暗闘、TVシリーズには格好の素材じゃなかろうか。
原題:Jumper
監督:ダグ・リーマン
脚本:デビッド・S・ゴイヤー、サイモン・キンバーグ、ジム・ウールズ
原作:スティーブン・グールド
撮影:バリー・ピーターソン
音楽:ジョン・パウエル
2008年アメリカ映画/1時間28分
半村良的な伝奇SFが楽しめるかと期待したが、パラディンはジャンパーを駆り立てるだけでその特殊能力を利用しようとしたりせず、神だけが持つべき力だと、捕まえたジャンパーを惜しげもなく殺すだけという徹底振り。伝奇は設定だけで中身は面倒なことは抜きに、シンプルな追っかけアクションなのだった。
ヘイデン君とサムエル・L・ジャクソンというフォース使い同士にリトル・ダンサーのジェイミー・ベルが絡んで、瞬間移動の不規則な跳躍飛躍の繰り返しから変なリズムの面白いアクションシーンが生まれた。瞬間移動もエンタープライズの「転送」のような滑らかさとは無縁で、抵抗感ある空間や壁を強引にぶち抜いていく。この無理矢理感がユーモラスで楽しく、ジャンパーのワイルドさも合っている。
青春映画を軸に、いろいろな要素を組み込んで、誰にでも楽しめるよう工夫したサービス精神と、最近には珍しい短時間の決着に好感を持った。東京のロケシーンも楽しい。
ジャンパーの特殊能力を単におもちゃとしてしか利用しない脚本は一つの見識だが、伝奇SF好みとしては、政治的な陰謀に利用したりするお話も楽しいと思うのだ。ジャンパーを秘密兵器として利用しようとする秘密組織パラディンとジャンパーの暗闘、TVシリーズには格好の素材じゃなかろうか。
原題:Jumper
監督:ダグ・リーマン
脚本:デビッド・S・ゴイヤー、サイモン・キンバーグ、ジム・ウールズ
原作:スティーブン・グールド
撮影:バリー・ピーターソン
音楽:ジョン・パウエル
2008年アメリカ映画/1時間28分
2008/03/06
エリザベス:ゴールデン・エイジ
バチカンからスペインへと敵役は変わっても、カソリック対プロテスタントの確執と王位継承を巡る陰謀とで内憂外患の女王エリザベスの孤独や不安、切ない恋路と愛の行方で興味をつなぐ展開は前作に同じで、同工異曲と言うより同曲に等しいが、ストーリー展開には工夫が乏しく、登場人物には説得力も魅力も無い。
クライマックスにスペイン無敵艦隊とイギリス海軍の激突を持ってきたのが新味だが、世界史に残る海戦を描いて戦況がよくわからぬまま決着がついてしまうのが安易だ。ビジュアルとしてもイマジネーションに欠けて面白くない。
二番煎じで二匹目の泥鰌を狙っただけの、作られる必要の無かった続編だろう。面白さで言えば、前作とはそれくらい隔たっているのだが、風格の増したケイト・ブランシェットと、彼女の着こなすファッションの、見事にゴージャスな美しさにはひれ伏してしまうのだ。
[監]シェカール・カプール
[総][脚]マイケル・ハースト
[出]ケイト・ブランシェット ジェフリー・ラッシュ クライブ・オーウェン リス・エバンス
[配給会社] 2007英.仏/東宝東和
[上映時間] 114分
クライマックスにスペイン無敵艦隊とイギリス海軍の激突を持ってきたのが新味だが、世界史に残る海戦を描いて戦況がよくわからぬまま決着がついてしまうのが安易だ。ビジュアルとしてもイマジネーションに欠けて面白くない。
二番煎じで二匹目の泥鰌を狙っただけの、作られる必要の無かった続編だろう。面白さで言えば、前作とはそれくらい隔たっているのだが、風格の増したケイト・ブランシェットと、彼女の着こなすファッションの、見事にゴージャスな美しさにはひれ伏してしまうのだ。
[監]シェカール・カプール
[総][脚]マイケル・ハースト
[出]ケイト・ブランシェット ジェフリー・ラッシュ クライブ・オーウェン リス・エバンス
[配給会社] 2007英.仏/東宝東和
[上映時間] 114分
2008/03/02
潜水服は蝶の夢を見る
脳梗塞で左目を動かす以外全ての運動機能が失われた男の生き方。
ブリジット・オベール森の死神のヒロインを思い出させる最重度の障害者が主人公。ELLEの編集長をみまった実話だという。どちらもフランス製。フランスは障害に対する理解や保障に優れてるのか。
コミュニケーションの手段が閉ざされた主人公の感覚や意識を描き出す1人称のカメラ。生を自覚した主人公が描かれる後半は3人称へと切り替わるなど、結構あざとい演出をしているのだが、少しもそうとは感じさせない。男の絶望や怒り諦めをしっかり伝えているし、無気力な主人公が周囲の人たちとの関わりの中で変化していく様子の、気取らぬ普通な感じも気持ちが良い。
色は抑えめでもトーンの豊かさで見せる映像は、アメリカ映画とは画然と異なるシックな美しさ。病室の窓で微風にそよぐカーテン。海風に揺れるフレアスカートの裾。オープンカーの風に髪をたなびかせる女。多くの感覚機能を封じられた主人公の、それゆえ一層鋭敏になったであろう官能を風とともに描き出すカメラもエロティックで素晴らしいのだ。
レントゲン写真に青インクがクールなメインタイトル。
エンドロールを締めているのは崩落する氷山のダイナミックなイメージなのだが、この映像の使われ方と効果は、「詩人の血」という、遥かな昔、草月会館で見たジャン・コクトーの作品を彷彿とさせて、作品の面白さとは別に、凄くノスタルジックな思いに浸ってしまった。
[監]ジュリアン・シュナーベル
[原]ジャン=ドミニク・ボビー
[撮]ヤヌス・カミンスキー
[出]マチュー・アマルリック エマニュエル・セニエ マリ=ジョゼ・クローズ
[配給会社] 2007仏.米/アスミック・エース
[上映時間] 112分
ブリジット・オベール森の死神のヒロインを思い出させる最重度の障害者が主人公。ELLEの編集長をみまった実話だという。どちらもフランス製。フランスは障害に対する理解や保障に優れてるのか。
コミュニケーションの手段が閉ざされた主人公の感覚や意識を描き出す1人称のカメラ。生を自覚した主人公が描かれる後半は3人称へと切り替わるなど、結構あざとい演出をしているのだが、少しもそうとは感じさせない。男の絶望や怒り諦めをしっかり伝えているし、無気力な主人公が周囲の人たちとの関わりの中で変化していく様子の、気取らぬ普通な感じも気持ちが良い。
色は抑えめでもトーンの豊かさで見せる映像は、アメリカ映画とは画然と異なるシックな美しさ。病室の窓で微風にそよぐカーテン。海風に揺れるフレアスカートの裾。オープンカーの風に髪をたなびかせる女。多くの感覚機能を封じられた主人公の、それゆえ一層鋭敏になったであろう官能を風とともに描き出すカメラもエロティックで素晴らしいのだ。
レントゲン写真に青インクがクールなメインタイトル。
エンドロールを締めているのは崩落する氷山のダイナミックなイメージなのだが、この映像の使われ方と効果は、「詩人の血」という、遥かな昔、草月会館で見たジャン・コクトーの作品を彷彿とさせて、作品の面白さとは別に、凄くノスタルジックな思いに浸ってしまった。
[監]ジュリアン・シュナーベル
[原]ジャン=ドミニク・ボビー
[撮]ヤヌス・カミンスキー
[出]マチュー・アマルリック エマニュエル・セニエ マリ=ジョゼ・クローズ
[配給会社] 2007仏.米/アスミック・エース
[上映時間] 112分
2008/02/17
チーム・バチスタの栄光
心臓手術の精鋭チームが立て続けに手術に失敗。心療内科医が内務監査に当たるが不審な点は見当たらない。そこに厚生労働省の役人が調査に乗り込んで院内を引っ掻き回し始めると。という原作はこのミス大賞受賞のベストセラー。話題作の映画化に相応しく新鮮かつ豪華なキャスティング。「人のセックスを笑うな」が同時刻の開始でどっちにするか少し迷ったが、楽しい週末の夜、娯楽に徹したい気分が勝ってこっちにした。
阿部寛が厚生労働省の怪人を生き生きと演じてとっても素晴らしい。キャラクター的にも日本映画には珍しいスケールのいけ好かなさを、嫌みなくユーモアを滲ませながら魅力たっぷりに造形している。「トリック」のバリエーション的なキャラクターとも言えるが、役柄の幅広さと技巧の繊細さにおいて阿部寛はジョニー・デップに匹敵すると思う。
心療内科医を演ずる竹内結子も人の良さと暖かさをじんわりと伝えて魅力的。この主役二人のコンビネーションが小気味良く、心臓手術のハラハラドキドキとよく調和した展開は見応え充分。吉川晃司以下、登場する役者はすべて良いが、特に、出番の長短に関係なくベテランが皆いい演技で楽しませてくれたのが実に印象的、この監督は力があるなぁ。
ミステリーには意外な犯人という様式がある。動機にも方法にも意外性が求められる。一昔前なら、事実は小説より奇なり、と言われる程度の余裕はあったものの、近年は事実のほうが圧倒的に奇想天外で、もはやミステリーもバカミスと呼ばわるぐらいの覚悟があっても太刀打ちは難しくなっているという現実。この映画の犯人はミステリーの様式を満たしているが、動機は、今の時代に驚くようなことでもなく、意外性があるとは言い難い。この程度は月並みと感じるぐらいこちらの感覚は日々のニュースで鍛えられてもいるのだ。この殺伐とした時代に本格ミステリを成立させることの困難さは高まるばかり。フーダニットは納得だが、ハウとホワイに感じる不満を補って余りある、肥大した心臓の余分を切り取ってダウンサイズするバチスタ手術の克明な描写の啓蒙的な面白さだった。
監]中村義洋
[原]海堂尊
[脚]斉藤ひろし 蒔田光治
[音]佐藤直紀
[出]竹内結子 阿部寛 吉川晃司 池内博之 玉山鉄二 井川遥 田口浩正 田中直樹 佐野史郎 野際陽子
2008東宝
120分
阿部寛が厚生労働省の怪人を生き生きと演じてとっても素晴らしい。キャラクター的にも日本映画には珍しいスケールのいけ好かなさを、嫌みなくユーモアを滲ませながら魅力たっぷりに造形している。「トリック」のバリエーション的なキャラクターとも言えるが、役柄の幅広さと技巧の繊細さにおいて阿部寛はジョニー・デップに匹敵すると思う。
心療内科医を演ずる竹内結子も人の良さと暖かさをじんわりと伝えて魅力的。この主役二人のコンビネーションが小気味良く、心臓手術のハラハラドキドキとよく調和した展開は見応え充分。吉川晃司以下、登場する役者はすべて良いが、特に、出番の長短に関係なくベテランが皆いい演技で楽しませてくれたのが実に印象的、この監督は力があるなぁ。
ミステリーには意外な犯人という様式がある。動機にも方法にも意外性が求められる。一昔前なら、事実は小説より奇なり、と言われる程度の余裕はあったものの、近年は事実のほうが圧倒的に奇想天外で、もはやミステリーもバカミスと呼ばわるぐらいの覚悟があっても太刀打ちは難しくなっているという現実。この映画の犯人はミステリーの様式を満たしているが、動機は、今の時代に驚くようなことでもなく、意外性があるとは言い難い。この程度は月並みと感じるぐらいこちらの感覚は日々のニュースで鍛えられてもいるのだ。この殺伐とした時代に本格ミステリを成立させることの困難さは高まるばかり。フーダニットは納得だが、ハウとホワイに感じる不満を補って余りある、肥大した心臓の余分を切り取ってダウンサイズするバチスタ手術の克明な描写の啓蒙的な面白さだった。
監]中村義洋
[原]海堂尊
[脚]斉藤ひろし 蒔田光治
[音]佐藤直紀
[出]竹内結子 阿部寛 吉川晃司 池内博之 玉山鉄二 井川遥 田口浩正 田中直樹 佐野史郎 野際陽子
2008東宝
120分
2008/02/05
スゥイニー・トッド
無垢なまんまじゃ生きていけない。汚れたまんまじゃ生きる資格もない。などと、チャンドラーを気取るわけではない。無垢なまま生きるにはいろいろ苦労が絶えないという、ティム・バートンの世界に想いを馳せているのだ。
無垢なるものが生きるには、世間から隔絶した空間に逃避するか、世間の相場に適応してくかのどちらかしかない。だから、シザー・ハンズ・エドワードは城に帰り、チャーリーはチョコレート工場に隠遁したりしたものだった。適応するなら、ゴッサムシティーでバットマンになったり、スリーピーホロウ村まで首なし死体を追いかけにいったり、時にはビッグフィッシュに遭遇する幸運を得た者もあった。ハロウィン・タウンのジャックはクリスマス・タウンに出かけて挫折したりしたわけだが、何れにしても、乳幼児以外の無垢とか純粋には、どうしたってトラブルがつきものってのがティム・バートンの主張だ。
優しく美しい妻と生まれたての赤ん坊。幸せな理髪師ベンジャミン・バーカーを一挙に地獄へと陥れる邪な欲望。無垢なるベンジャミンは、スゥイニー・トッドと名を変え、家族を奪った魔都ロンドンに相応しい邪悪さをもって蘇るのだった。という期待の新作は世にも名高いヒットミュージカルだが、なるほどティム・バートンにぴったりの内容ではある。
回転する歯車と流れる血の色。緊張感と美しさで見せるメインタイトルから素晴らしい。ジョニー・デップはヴィジュアルもボーカルもスタイリッシュで申し分なく、アラン・リックマンの、出てくるだけで場が引き締まるいつもながらの存在感にも惚れ惚れ。ヘレナ・ボナム・カーターだって負けてはいない。哀感溢れるゴシック的妖しさでイライラさせる魅力も全開なのだ。
異常が正常な世界。異常な登場人物達ばかりなので、楽曲の普通の美しさが際立つ。際立つが、いわゆるミュージカル的なもので、絵とのギャップに戸惑う感じがあって、ダニー・エルフマンならどうだろうかなどと、ちらり頭をよぎったりした。しかしまあ、ティム・バートン独特のイマジネーションは今回もハイレベルで、陰鬱な画面に芸達者達の達者な芸が陰鬱な華やぎを添える独壇場の美しさ。強い牽引力でグイグイ引っ張る。
スゥイニー・トッドの狂気は無垢さの裏返し。次から次へと犠牲者が増えるのも無垢なるが故、郊外の城へと導いてくれる庇護者も、チョコレート工場もスゥイニー・トッドには無い。クリスマスの雪を削りだすエドワードの姿が、美しくもロマンティックなエンディングとして描かれてから18年経って、今や、無垢なる愛は地獄のかまどに劫火が燃え盛る理髪店の階下で、妻の亡がらを抱きながら息絶えるベンジャミン・バーカーへと姿を変えたけれど、その無垢なる本質に変化は無い。ただ、ティム・バートンも歳をとり、世界は地獄との距離を一層縮めているだけなのだ。
無垢なるものが生きるには、世間から隔絶した空間に逃避するか、世間の相場に適応してくかのどちらかしかない。だから、シザー・ハンズ・エドワードは城に帰り、チャーリーはチョコレート工場に隠遁したりしたものだった。適応するなら、ゴッサムシティーでバットマンになったり、スリーピーホロウ村まで首なし死体を追いかけにいったり、時にはビッグフィッシュに遭遇する幸運を得た者もあった。ハロウィン・タウンのジャックはクリスマス・タウンに出かけて挫折したりしたわけだが、何れにしても、乳幼児以外の無垢とか純粋には、どうしたってトラブルがつきものってのがティム・バートンの主張だ。
優しく美しい妻と生まれたての赤ん坊。幸せな理髪師ベンジャミン・バーカーを一挙に地獄へと陥れる邪な欲望。無垢なるベンジャミンは、スゥイニー・トッドと名を変え、家族を奪った魔都ロンドンに相応しい邪悪さをもって蘇るのだった。という期待の新作は世にも名高いヒットミュージカルだが、なるほどティム・バートンにぴったりの内容ではある。
回転する歯車と流れる血の色。緊張感と美しさで見せるメインタイトルから素晴らしい。ジョニー・デップはヴィジュアルもボーカルもスタイリッシュで申し分なく、アラン・リックマンの、出てくるだけで場が引き締まるいつもながらの存在感にも惚れ惚れ。ヘレナ・ボナム・カーターだって負けてはいない。哀感溢れるゴシック的妖しさでイライラさせる魅力も全開なのだ。
異常が正常な世界。異常な登場人物達ばかりなので、楽曲の普通の美しさが際立つ。際立つが、いわゆるミュージカル的なもので、絵とのギャップに戸惑う感じがあって、ダニー・エルフマンならどうだろうかなどと、ちらり頭をよぎったりした。しかしまあ、ティム・バートン独特のイマジネーションは今回もハイレベルで、陰鬱な画面に芸達者達の達者な芸が陰鬱な華やぎを添える独壇場の美しさ。強い牽引力でグイグイ引っ張る。
スゥイニー・トッドの狂気は無垢さの裏返し。次から次へと犠牲者が増えるのも無垢なるが故、郊外の城へと導いてくれる庇護者も、チョコレート工場もスゥイニー・トッドには無い。クリスマスの雪を削りだすエドワードの姿が、美しくもロマンティックなエンディングとして描かれてから18年経って、今や、無垢なる愛は地獄のかまどに劫火が燃え盛る理髪店の階下で、妻の亡がらを抱きながら息絶えるベンジャミン・バーカーへと姿を変えたけれど、その無垢なる本質に変化は無い。ただ、ティム・バートンも歳をとり、世界は地獄との距離を一層縮めているだけなのだ。
2008/02/04
アメリカン・ギャングスター
ハーレムを牛耳ってきた大物の後釜に納まったフランクは、べトナム戦争のドサクサに米軍絡みの麻薬密輸ルートを確立し、高品質な商品を供給して瞬く間に市場を支配する。組織を血縁で固め、豊富な資金で事業を拡大していくが、堅実な経営手法は麻薬取り締まり官の注意を引くこともない。
一方、伝説の正直者として仲間うちから煙たがられ、それ故に検察の特命麻薬捜査主任を命ぜられたリッチー。麻薬密売の本命をあぶり出そうと懸命の捜査を続けるその線上に無印フランクが浮上してくる。
信義を重んじ、親兄弟を大事にするフランクだが、ブチ切れると何をするかわからない危ない男でもある。粗悪品を売りつけるキューバ・グッディング Jr.に、品質を維持しブランドイメージを守ることが大事なんだと説教を垂れる場面は面白いが、このとんでもない悪党もデンゼル・ワシントンがやるととてもエレガントで少しも悪党に見えない。対するラッセル・クロウは、清廉潔白、お天道様に恥じない生き方を貫く立派な男だが、男やもめの生活感横溢した結構な汚れ役で、キャラクター的にはもっと格好良くてもいいのだが、どうもパッとしない。
一口でいえば、「ゴットファーザー」のロバート・デニーロに対する「アンタッチャブル」のケヴィン・コスナーといった味付けの二人。これを単純な善悪のコントラストで描いていないのはいいが、麻薬を商うフランクの卑劣さを正当化しすぎているきらいがあり、そこからウエットさとか緩さとかが滲み出てくる。更に、悪徳警官撲滅キャンペーンへと盛り上がるところも同様で、どうにも厳しさが足りない。却ってフランクのキャラも見え難くなっている。
ベトナム戦争の推移を背景に、入念に作り込まれた映像も魅力的なアメリカンギャングスター。スケールの大きさで見せるリドリー・スコットにしては中途半端で、ドラマ的な奥行きに乏しい。フランクはデンゼル・ワシントンよりサミュエル・L・ジャクソンなんかの方がしっくりくると思うのだ。
監督:リドリー・スコット
出演:デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ、キウェテル・イジョフォー、アーマンド・アサンテ、
07年 アメリカ 157分
一方、伝説の正直者として仲間うちから煙たがられ、それ故に検察の特命麻薬捜査主任を命ぜられたリッチー。麻薬密売の本命をあぶり出そうと懸命の捜査を続けるその線上に無印フランクが浮上してくる。
信義を重んじ、親兄弟を大事にするフランクだが、ブチ切れると何をするかわからない危ない男でもある。粗悪品を売りつけるキューバ・グッディング Jr.に、品質を維持しブランドイメージを守ることが大事なんだと説教を垂れる場面は面白いが、このとんでもない悪党もデンゼル・ワシントンがやるととてもエレガントで少しも悪党に見えない。対するラッセル・クロウは、清廉潔白、お天道様に恥じない生き方を貫く立派な男だが、男やもめの生活感横溢した結構な汚れ役で、キャラクター的にはもっと格好良くてもいいのだが、どうもパッとしない。
一口でいえば、「ゴットファーザー」のロバート・デニーロに対する「アンタッチャブル」のケヴィン・コスナーといった味付けの二人。これを単純な善悪のコントラストで描いていないのはいいが、麻薬を商うフランクの卑劣さを正当化しすぎているきらいがあり、そこからウエットさとか緩さとかが滲み出てくる。更に、悪徳警官撲滅キャンペーンへと盛り上がるところも同様で、どうにも厳しさが足りない。却ってフランクのキャラも見え難くなっている。
ベトナム戦争の推移を背景に、入念に作り込まれた映像も魅力的なアメリカンギャングスター。スケールの大きさで見せるリドリー・スコットにしては中途半端で、ドラマ的な奥行きに乏しい。フランクはデンゼル・ワシントンよりサミュエル・L・ジャクソンなんかの方がしっくりくると思うのだ。
監督:リドリー・スコット
出演:デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ、キウェテル・イジョフォー、アーマンド・アサンテ、
07年 アメリカ 157分
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