2006/05/21

エルンスト・バルラハ展

http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/current_exhibitions_ja.htm
ドイツ表現主義ならカンディンスキー、ノルデ、シーレ、ココシュカぐらいは知っているが、エルンスト・バルラハってのは知らなかった。なんでも、20世紀ドイツを代表する彫刻家・版画家・劇作家であるらしいが、日本ではこれが初の回顧展だということで、知らなくてあたりまえなのだった。

修行時代の前半は素描と陶製のレリーフ、後半が彫刻と版画で構成された展示。回顧はコンパクトで、体力、気力的に丁度良かった。

絵が巧い。達者な線で批評性の高い表現。ロートレック的な辛辣さや都会的な洗練も漂わせている素描やデッサン。何を描いても様になっている。何でもできるからいろいろなことをやっている。

そんな修業時代を経て、生涯のテーマに目覚め、内省を深めていく中期以降には、巧さも都会的洗練も影を潜めて行く。人の形は量塊として捉えられ、骨太で逞しいフォルムに統一されていく。より深い静謐や静寂が、激しいエネルギーの発露が、単純化された形から放射されてくる後半の展示作品が素晴らしい。

単純な形象でメッセージ性も物語性も豊かな作品は、直にこちらの琴線に触れてくる。そこに、晩年はナチスの迫害により、不遇と失意のうちに世を去ったことが明示されて、出口に向かう時には、入る時には思っても見なかった気分で、バルラハの精神と作品の意味が一層重く感じられた。