西暦2206年。あまた列強が激突を繰り返す争乱の世。レスポール王率いるESP王国は着実に領地を拡大しつつあった。ESP王国の将軍ランダムスターは戦功著しく出世街道を驀進中。そんなある日、凱旋の途にあったランダムスターに、3人の魔女が不吉な未来を予言する。予言の全てが収められたという銀色の円盤を手に入れたランダムスター。それは1980年代のロックブームに生まれたヘビメタバンド「メタルマクベス」のデビューにしてラストアルバムなのだった。
「北斗の拳」とか「マッド・マックス サンダードーム」な世界に、人名、国名をフェンダー、ギブソン、レスポール、ヤマハなどの名に変えて、クドカンが語る「マクベス」はメタルなロックミュージカル。
マクベス=ランダムスターの内野聖陽のボーカルは、高音の伸びと切れがよく、声量の豊かさも気持ちいい。夫人を演じる松たか子も、歌の上手さは折り紙付き。ふとした所作の切れ味や、決めのポーズの華麗さ鮮やかさに天与の才が滲み出る。
レスポール王=上条恒彦の息子を演じた森山未来は、タップダンスに演歌独唱と見せ場もたっぷりだが、上手い下手以前に、体を張った努力でそれに応えようとする必死な気持ちが直に伝わって、はっきり言って下手だが好感度大。
重い質感の装置や、不安定感を生む舞台の傾斜も効果的。衣装デザインもナイス。ロックコンサートなライティングと大音量のヘビメタサウンドの迫力に、歌詞のトホホ感ががさらに盛り上がる楽しさ。観客を思いっきり楽しませようとする意図に貫かれたステージは疾走感を維持したまま、20分の幕間を挟んで4時間続いた。これを毎日、日によっては2回やろうてんだから役者稼業も大変だと、改めて思う。
それはそれとして、設定、見せ方には工夫もあり、クスグリのネタも面白いが、「メタル マクベス」という、想像力を刺激するカコいいタイトルの割には、シェークスピアの忠実なトレースに過ぎるような気がする。「メタル」が音楽以外の、キャラやドラマ展開にどんな位置を占めているのかがよくわからない。劇中、「メタル」に馬鹿にされ、利用される「パンク」が出て来て笑わせたが、いまにして思えば、もっとパンクな「マクベス」を、自分は期待していたのかなってこと。
橋本じゅんがコリン・ファレルに似てるのが気になった。