ネットに書評子絶賛の声がこだましてたもんで、早速本屋に行ったが現物は無い。無いとなれば余計欲しくなるわけで、更に探索区域を広げたが、何処にも見当たらない。四国からの帰路、岡山の大書店、小書店などにも足を運んではみたが無駄骨。
大体、ポケミスよりポケミス置いある本屋の方が珍しい、てな状況が珍しくないという状況もある。探し疲れてというより諦めてアマゾンに頼んだのが3月初めのこと。本が届いたのは4月に入ってからで、ん、4版? 印刷ちゅうだったの?どうりで探しても無いわけだ。その後は安定的に供給されているようで、ポケミスの大量平積みなんぞの珍しい光景にも接し、今や供給過剰が心配される。
ルイジアナの州都バトンルージュの市警に勤務する制服警官の視点から、警察の日常業務が描かれている。その精緻で豊かさのある描写から生まれる臨場感、並々ならぬリアリティーはちょっと比類がない。
さらに、5人の女性警察官達をロンド形式で追う連作短編は、どれもタフでデリケートで誠実な世界を構築している。
生きるという事の何たるかを、生きる事を通して伝えようとする。
日常と非日常の接する時間、生と死が交錯する空間を仕事場に選んだ5人。彼女等女性警官の心の軌跡、生の記録が全10編。
どの作品をとっても、ニュアンスに富み、香気溢れた文章が、切実さと意外性とで生きることの不思議を伝えてくれる。
導入展開で作品世界に絡めとり、後半のキャシーでブースターに点火、ロケットは更に上昇。そして5人目のサラを難儀の末に周回軌道に乗せ、未来を託すという構成も素晴らしい。
MWA最優秀短編賞の受賞作を含む警察小説であるから、ポケミスでのラインナップは当然といえば当然だが、読後感から言えばポケミスより新潮クレストブックなのだった。