
東京タワー リリー・フランキー
親子、家族の有り様も時代と共に変化する。尊属殺人に恐れおののいたのも今は昔。父性も母性も昭和のノスタルジーかと思えるような幼児虐待の報道も、こう日常茶飯ではニュースバリューも下落する。
こんな時代だから、名前を書けば死んでしまうノートブックの秘密を巡る物語に引き込まれる事もあるし、一方では癒しや感動を求める気持ちも強くある。そんな次第で、感動必至、号泣必至と言われると手が出る。
東京タワー オカンとボクと、時々、オトン リリー・フランキー
このタイトル、副題、著者名の字面から受ける感じからは、ちょっと軟派系の切なく情けないような話かとの予断があった。はじめのうちにこそ、そんな雰囲気もあったが、どうしてどうして、これは北九州の大先輩「花と竜」の直系の子孫とも言うべき無頼の精神に貫かれた、堂々たる硬派の物語だったのが意外だった。
九州発、花と竜、青春の門の流れを汲む青春サクセスストーリーとしても良くできている。語りも巧いしタイトルが憎い。
何より、この本の大成功によって、著者自身がマイナーから一挙に大ブレークしたこと。本に描かれた結末にさらなる増刷が加わり、現在進行形のライブ感溢れるジャパニーズドリームと化したのは、作者の意図を遙かに超えて、この作品をきらびやかに変質させているようだ。