2006/10/02

百番目の男 ジャック・カーリィ


05年このミス6位にランキングされたサイコサスペンスはバカミスと評されることも少なくなかった。
サイコはともかく、タイトルにも惹かれなきゃ著者も知らないしバカミスにも興味はないので読む気もなかったが、よく見れば表紙がクールだ。それがどうも気になって、この本は完全にジャケ買い。

マッチョな筋肉の完璧なボディーには染みひとつ傷ひとつなかったが、首もなかった。美しい死体に残された謎のメッセージ。連続する猟奇殺人の捜査に投入されたのは、イカレた犯罪専門部署の冷や飯食いコンビ。99人が同じこと言っても別のこと考える百番目の男とその相棒。

物事には素直な気持ちで当たらなければいけない。知った気になっていつの間にか傲慢不遜な判断をしてしまう。それは、結局自分のマイナスにしかならない。そういうことを改めて感じさせられる程に、「百番目の男」は面白かった。主人公の相棒以外はほぼまともな人間が出てこないという屈折。しかしふざけた会話にも陰鬱な描写にもどこか若さと清新さ漂う独特のきわどい魅力。

それにつけても、「羊たちの沈黙」の凄さがこの作品からも改めて感じられるのは、この作品もレクターの影響が色濃いが、これに限らず、他にもレクターの影響を強く感じされる作品がいくつもあることだ。レクターとクラリス・スターリングは、今や、ホームズ、ルパン、マーロウに比肩する影響力をもった歴史的キャラクターとして、地歩を固めているようだ。

この人いいなぁ、次も是非読みたい。

文春文庫 771円 05.12.1 2刷