
女性の1人称で綴られた短編が正味200ページに満たない文庫に納められている。道行き、駆落ち、同棲、SM、性欲、3p、心中、不死。八つの短編はどれも一貫して性を切り口に生を描いている。
日常は日常であり日常ではない。鋭利な感覚を緩さで語る繊細で剛胆な筆遣い。品の良さと伸びのあるリズム感で巧妙な語り口。文章は優しく哀しくそして軽い。
八編の主人公達は世俗の価値観や意味に縛られていない。それよりもっと別な大切なものに囚われている。だから、いくらでも重苦しくなることを、作者は軽さで顕していく。
軽さは優しさ哀しさを浮かび上がらせるが、同時に怖さももれなくついてくるのだ。その怖さは、こちらの世知の浅はかさや、世俗の垢の付き具合に気づかせてもくれる怖さであり、男にとっては、紛れもない女の怖さでもある。
2003年 7月25日 5刷
文春文庫