2005/09/18

ヒトラー 〜最後の12日間〜

ソ連軍に包囲されたベルリン。ナチス本部の地下壕に進退極まったヒトラー。間断のないソ連軍の砲撃にさらされ、現実から目を背けるしか精神の均衡を保つ術がない極限状況の人々。

ヒ トラーとエヴァ、ナチス高官達からゲッペルス一家の子供達まで、個としての自然な存在感をにじませる出演者達。至近に炸裂する砲弾、爆音、貫通銃創など、 アクション映画とは画然と異なる精神を感じさせる効果の迫真。ゲッペルス婦人の鬼気迫る静けさを見据える視線の説得力。スキの無い演出と洗練された技術 が、息詰まるような緊張感と共に第三帝国の終焉を描き出す。ナチス本部を浸潤した狂気に、観客もまた追い込まれていくようだ。

総統秘書のドキュメントをベースにしたという映像は、風格と重量感に溢れている。映画的な興趣に満ちた傑作である。