菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)寺子屋
着いた時には始まっていて、子供達が奥に引っ込むところだった。海老蔵と勘太郎の夫婦が何やら慌ただしそうにしている。筋がよく判らないが、海老蔵の雰囲気の軽さが気になる。福助登場。空気が豊かに膨らむようだ。品があって美しい。さらに勘三郎が現れる。あたりを払う風格は流石の大きさ。筋もようやく飲み込めてきた。忠義の為に子を差し出す切ない話。熊谷陣屋とか先代萩とかと同工異曲だが、父勘三郎の悲嘆、母福助の絶望が人情のツボにヒットする。名作たる所以なのだな。
粟餅(あわもち)
三津五郎、橋之助の舞踊。橋之助と並ぶと三津五郎の姿形の美しさがよく分かる。軽妙さも洗練の度合いもより増幅されるように見える。別に橋之助のどこが悪いって事は無いのだが。
ふるあめりかに袖はぬらさじ
杉村春子の当たり役を玉三郎が引き継いだ形で上演していたものを、今回歌舞伎として演出されたものだという。尊王攘夷と国が割れた幕末、騒然とした空気が満ちる世の中、遊女の自殺がきっかけで時代の最前線に押し上げられた遊郭に繰り広げられる悲喜劇。
玉三郎は時に杉村春子的な芝居を感じさせるが、余裕と貫禄で主役を演じている。年季の入った芸者にふさわしい立ち居振る舞いは本当に美しく、安定感も充分。加えて、ここでも勘三郎は魅力的。存在感の大きさで舞台が引き締まった。光と影のコントラストを強調したセットも新鮮。中村獅童も良かった。
今日は昼過ぎからずっと遊び惚けてしまった。まともな社会人としては早く帰って明日に備えなければと足早に有楽町をめざしたが、10時になろうかという時刻、晴海通りはまだ宵の口、銀座通りの賑わいにも陰りが無い。タフな街なのだ。
12月5日