2008/04/10

チャールトン・ヘストン

「十戒」と「ベン・ハー」の強烈なイメージのまま、並外れたヒーロー像を大スクリーンに刻み続けたチャールトン・ヘストンが亡くなった。特別ファンではないが、ほとんどの出演作を見ているのは、60年代のハリウッドの大作といえば、ほとんどこの人が主演していたようなものだったからだ。辺りをはらう風格で歴史的な大人物を演じたが、作品も大味なものが多かった。
晩年はマイケル・ムーアの「ボーリング・フォー・コロンバイン」により、全米ライフル協会会長としての超タカ派的言動が注目され、主演作品のヒーロー然としたイメージとのあまりな落差に失望感を抱いた人が多かったのは残念だった。

川本三郎が4月9日の朝日朝刊の追悼文で、この、ヘストンに対するマイケル・ムーアの姿勢をして、「俳優としての敬意を欠いていたと思う」と切り捨てている。マイケル・ムーアの礼節を欠いた態度がチャールトン・ヘストンの意固地で偏屈な反応を引き出していたことは確かで、誠にもってその通りだと共感した。さらに川本は「ウィル・ペニー」をヘストンの最高作と記して追悼の文を締めくくった。再度共感、激同意する。

「ウィル・ペニー」ね。あれはよかった。時代遅れの心優しいカウボーイは、文盲で自分の名前も書けず、雪山で寒さに凍えながら丸のサインしていたのだった。モーゼ、エル・シド、ミケランジェロなど、王にも神にも伍した人物を得意としたヘストンだが、そんな男の哀しさや優しさを陰影深く演じられる俳優でもあったのだ。