『ごめんなさい!今までこんな面白いミステリを紹介していなくて』 20万部突破! 悲しいけれど暖かいミステリの隠れた傑作!20万部突破!などなど。幻冬舎の気合いの入った新聞広告。「隠れた傑作」って言い方に惹かれて手に取った1冊。
子供が病死、妻は自殺、仕事はクビなった医師が絶望の果てにたどり着いたのは、男がはるか昔に誘拐された幼児の命を救った街だった。ホームレスとなった男が巻き込まれた連続殺人事件。男の胸に生じたかすかな疑念は、やがて明確なイメージへと結晶し始める。
状況設定も物語の展開も大変ドラマチックだがリアリティーに欠け説得力も乏しい。元医師のホームレスの自意識過剰な述懐に興がそがれたし、その他の登場人物達もキャラクター的な魅力は弱い。狭い街とはいえ、関係者が至る所で偶然に邂逅するのも気になる。人の肉体を殺したら罰せられるのに、人の心を殺しても罰せられないのですか?という惹句が、単なる惹句だけで終わっているのも半端な印象が残った。
本来が鬼畜体質だし本格風味も苦手なので、そこから文句を言うのは筋がちがうかな。これは体質に合わなかった。
償い
矢口敦子
平成15年 6月15日 初版
平成19年12月11日 4版
幻冬舎文庫
648円+税