2008/04/07

クローバーフィールド/HAKAISHA

送別パーティーの最中、突如ビルを揺るがす大音響。はるか摩天楼に火の手が上がり、通りへ飛び出した若者達の前に、轟音とともに自由の女神の首が転がり落ちて来る。パーティーの記録用だったハンディ・カムに、若者達の避難行の全てが記録されていく。

粒子の粗いブレまくった映像ということから、ある程度覚悟していたが、全然見にくくなかった。逃げるというシンプルなストーリーをチーム編成やキャラ設定の工夫で成立させているが、冒険行なのに男達に苛つかせられたのは作り手の計算なのか。

マンハッタンの市街戦、崩壊するビル群、飛来する戦闘機などの迫真的な絵の見事なリアリズム。地球を揺るがす大厄災がごく普通の青年の視点からホームビデオに収められたとの設定が、いかにもそれらしく計算し尽くされた映像で展開する。これを極彩色大画面でなく、あえてハンディカムで見せたろうかというへそ曲がりなクリエーター魂に感動し、クライマックス6:00A.Mの凄みあるイメージにはしびれた。

エンドロールで初めて娯楽映画らしい曲が鳴り響く。伊福部的なリズムと旋律の意図は分かるが、無機的でドライな現代感覚が支配する本編の味わいとはあまり折り合いがよろしくない。日常感覚で見せる異常な光景と意外な怖さで楽しんだ充実の1時間半。

ノーカントリーからはフォー・オールドメンが削られ、クローバーフィールドにはHAKAISHAという邦題が加えられた。どちらも過不足あって、見終わった後の余韻、味わいが損なわれるわけだが、はたして営業的な効果はどれほどあるものか聞いてみたい。

原題:Cloverfield
監督:マット・リーブス
脚本:ドリュー・ゴダード
製作総指揮:ガイ・リーデル、シェリル・クラーク
製作:J・J・エイブラムス、ブライアン・バーク
2008年アメリカ映画/1時間25分
配給:パラマウント