2009/08/11

G.I.ジョー


世界中から集めた精鋭達で編成された「G.I.ジョー」に対するは、悪の秘密結社「コブラ」というシンプルで分かりやすい設定は大時代としか言いようが無いが、一昔前なら基本とも古典とも言われて受け止められたこの設定をそんな風に感じてしまう事自体、言ってみれば今が、いかにロマンティックが生き難い時代になってしまったかの証しに他ならないって気もしてくる。

このシンプルな世界観と大時代性に立ってスティーブン・ソマーズ、細かい事は抜きにテンポの良さとアクションの勢いで押しまくる。「ハムナプトラ」シリーズや「ヴァン・ヘルシング」でも充分お馴染みのこの手口に、今回はさらに臆面の無さを発揮して、「スターウォーズ」「007」「Xメン」の各シリーズから設定やらビジュアルやらを、良く言えば引用、もしくはパクリまくっているところなどいっそ潔く、却って好感が持てる。ソマーズ好みともいえるグロテスク趣味が抑えられているのも、これはお子様たちへの配慮だろうが、作品にもプラスに作用している。

パリ市中を加速パワードスーツで走り抜け、町中をめちゃくちゃにぶち壊しまくり、エッフェル塔が倒壊するなど、豊富な見せ場で楽しませてくれる。G.I.ジョーってのは男の子向けのバービーちゃんだと思っていたので、個人名ではなく特殊部隊の名称ってのは意外だった。で、隊員達はジョーズと呼ばれてたのだが、あれはギャグなのかそうじゃないのかと気になってしまった。

真っ先に映し出されるハズブロのロゴが、これはおもちゃのプロモーションだよと宣言しているようだが、おもちゃへの興味関心など無くても大丈夫、おじさん達へも手厚い配慮が行き届いた活劇SFファンタジー。空調の効いた館内で蒸し暑さをうっちゃるにはもってこいの一本。

原題:G.I.Joe: Rise of Cobra

監督:スティーブン・ソマーズ

製作:ロレンツォ・ディ・ボナベンチュラ、ライアン・ゴールドナー、ボブ・ダクセイ

脚本:スチュアート・ビーティー、デビッド・エリオット、ポール・ラベット
撮影:ミッチェル・アムンドセン

音楽:アラン・シルベストリ

時間:2時間2分
2009年アメリカ