2011/01/01

2010年映画の旅

特選の11本
   第9地区 トロン・レガシー3D インセプション トイ・ストーリー33D コララインとボタンの魔 
   女 3Dヒックとドラゴン3D 告白 十三人の刺客 ハリーポッターと死の秘宝 怪盗グルーの 
   月泥棒3D 悪人 

「第9地区」は宇宙人の脅威を難民問題として展開したアイディアの斬新さに痺れた。ビジュアルも見事で、シチュエーションの設定、キャラの造形、ストーリー展開どこも隙のない文句なしの傑作。アカデミー賞の作品賞は「ハートロッカー」より「アバター」か「第9地区」だったと思った。 
蛇足だが、「ハートロッカー」は「ディア・ハンター」がヴェトナム戦で描いたテーマをイランイラク戦的に見せた2番煎じで、年間を代表する面白さはなかった。爆弾処理の緊張感より砂漠でのスナイパー合戦が実に良かった。 

「インセプション」はビジュアルとストーリーの融合が映画ならではの面白さ。 
「アバター」が極彩色の魅力なら「トロン」は正反対のダークなモノトーンの魅力。 

3D作品が毎月のように公開された今年。13本15回3Dを観た。今後も3D作品は増加の一途をたどるだろうし、本数が増えれば質の低下も当然免れないだろう。などと心配になるぐらい、今年の3Dで公開されたCGアニメはどれも優れた作品だった。トイ・ストーリー3、ヒックとドラゴン怪盗グルーの月泥棒3Dは王道を往く秀作で大人は泣けるし子供にも安心して見せられるが、コララインとボタンの魔女 3Dはお話にもビジュアルにも毒が効いて、そこが魅力だが、子供によっては悪夢に苛まれるかも。

「告白」はポップな感覚に日本人離れしたスケールを見せる監督が、その得意技を封じ抑制に徹した表現で描いた「今」。話題のベストセラーへの意欲的かつ挑戦的なアプローチが印象的だった。木村佳乃に助演女優賞を。また勘違いの熱血教師を演じた岡田将生は、「悪人」でも最悪のキャラクターを演じ、人気のイケメンにもかかわらず、こんな嫌なキャラをよく演じているもんだと印象に残った。2本併せて助演男優賞を。 

「十三人の刺客」は忠臣蔵と七人の侍を一緒くたにした強欲さに、三池がかますお得意のハッタリがジャストフィット。設定やアクションの展開にカッコ悪いところもあるが、稲垣吾郎ちゃんの極悪振りの意外性と説得力も牽引力を持った。重量感と豪快さで見せる快作。 

「悪人」で印象的だったのは、海の見える部屋に住んで妻夫木を羨ましがる深津絵里に、海があるから何処にも行けないと妻夫木が忌々しそうに応える。妻夫木には「山のあなたの空遠くに幸い住むという感覚はない。深津もまた、高校出て今の会社に就職し今日までずっと同じ国道沿いから離れたことがないと共感を深める。手詰まりで行き場が見えない毎日。リアルなフロンチィアが消失した現代社会を覆う閉塞感。そこに唯一風穴を開けるのが携帯であり、出会い系サイトこそ未知への冒険をお手軽に提供してくれる場だと知れる。さらに印象的なのは妻夫木の回想に、姿造りされたイカ刺しの目玉の大クローズアップから入ること。海辺の食堂でイカ刺しを前に過去をカミングアウトする妻夫木に出会い系で出会った二人の関係がバーチャルからリアルへと移行し始める。その重要なシーンを携帯に対するイカの目玉という意表を突くイメージを用いたところに、原作に対する映画人の意気込みみたいなものが感じられるような気がした。これは深津絵里がモントリオール映画祭の主演女優賞の受賞が話題だったが、柄本明、樹木希林、松尾スズキ、でんでん等の実力、魅力が画面全体をがっちりと支えている。灯台と海の映像の美しさもフランス映画の様な味わいが印象的だった。 

「ハリーポッターと死の秘宝」ハリーにはオーラが無くなったかわりにロンがいい男に成長し、ハーマイオニーの魅力が増した。従来のパターンを全て廃した展開で、大好きなアラン・リックマンも顔を見せただけであったにも関わらず、カメラも美しく今までで一番面白かった。 



脱力の5本 
   時をかける少女 パーシージャクソン ロストクライム sbsヤマト SP 野望篇 

公開時に見逃した作品も半年後にはDVD化されレンタル店の棚に並ぶ。言い換えれば、公開時に見逃すとその後スクリーンで観ることは叶わない。なのでなるべく映画館で観ているが、まあ、普通に面白ければ文句はないが、時間と金の無駄な作品にも当然出会う確率も増す。「時をかける少女」 「ロストクライム」 「パーシージャクソン」の3本はそんな感じ。SPはTVシリーズに夢中になった。しかし、映画化は脚本がタコで岡田君の体を張ったアクションも空回り。期待してた分失望感が増した。「ヤマト」には期待はなかったから、ギャラクティカやスタトレをパクったビジュアルなどは許容できたが、狭い艦橋の沖田艦長がスパイラルコードのマイクを手に艦内放送したり、乗組員のコンソールはデッカイキーボードだったりで、ワープ航法や波動砲を実現する科学力が微塵も感じられないのは黒木メイサちゃんの魅力をもってしてもSFとして許しがたい。 




2010年劇場で観た映画1 アバターImax3D 母なる証明 サロゲート アルビン号の冒険3D 
2 ラブリーボーンインビクタスDrパルナッソスコララインとボタンの魔女 3Dパーシージャクソン 
3 シャーロック・ホームズドラゴンタトゥーの女時をかける少女ナインダレンシャンハートロッカー 
4 タイタンの戦い3D アリス・イン・ワンダーランド3D シャッターアイランド 第9地区 
5 グリーンゾーン 
6 告白 プリンス・オブ・ペルシャ アイアンマン2 
7 ロストクライム必死剣鳥刺しプレデターズエアベンダー3Dザ・ウオーカーアデル トイ・ストーリー33D 借りぐらしのアリエッティ 
8 ソルト 魔法使いの弟子 インセプション ヒックとドラゴン3D 特攻野郎Aチーム 
9 バイオハザードⅣ3D 悪人 十三人の刺客 
10 ガフールの伝説 3D エクスペンタブルズ ナイトメア・ビフォア・クリスマス3D SP 野望篇 
11 怪盗グルーの月泥棒3D ハリーポッターと死の秘宝 トワイライト・エクリプス 
12 sbsヤマト ロビン・フッド トロン・レガシーImax3D ノルウェイの森