2010/12/23

ロビン・フッド

監督リドリー・スコットの脚本はブライアン・ヘルゲランドでラッセル・クロウにケイト・ブランシェットさらにはマックス・フォン・シドーまで出るとなればこりゃ期待値高止まりで観るっきゃないのである。

立派な王様の跡継ぎが馬鹿だったもんで大変な国難を招いたイングランド。ひょんなことから地位と名誉を得たロビンがキング牧師もかくやの名演説で諸侯を束ねて立ち上がり救国の一戦に勝利する。しかし・・・。というロビン・フッドの大活躍を描いた歴史絵巻。

全体に「グラディエーター」と「キングダム・オブ・ヘブン」を足して2で割ったような感じだが、いわゆるシャーウッドの森の主になる前を描いている点でロビンものとしての新機軸を打ち出している。ヘルゲランドは後に名を上げるリトル・ジョン等森の仲間達とロビンとの邂逅も自然に取り込んでそつがない。

ラッセル・クロウはリドリー・スコットに演出されると実に伸びのびとして大きく安定感もあり凄くいい。ケイト・ブランシェットは聡明でできる女の魅力発散しラッセル・クロウの存在感に拮抗というか、むしろ凌ぐ佇まい。

対するは「シャーロック・ホームズ」で神秘性を帯びた悪党の怪演が印象的だったマーク・ストロング。あの謎めいたキャラに比べると今回の悪役は若干弱かったのだが、そこは見事な死に様で喜ばせてくれるなどイイ仕事ぶり。名前までもカッコいいマーク・ストロングなのである。

イマジネーションの豊かさと絵作りの確かさ。リドリー・スコットならではの見事なシーンが目に快い。史実に則ったようなリアルさで上質のヒロイック・ファンタジーをしっかり楽しませてくれる。編集の切れ味で見せるダイナミックで迫真的な戦闘シーンなど、まさにハラハラドキドキを煽るために観客の呼吸まで自在にコントロールしてしまう匠の技なのである。フランス軍の上陸用舟艇や海岸の攻防がどんだけオマハ・ビーチのプライベート・ライアンかって事だって、類まれな監督のサービス精神が気合充分なハッタリとなって炸裂した結果なのだし、当然、大上段の素晴らしいメッセージをもしっかり支えきっている。