2009/02/17

フェイクシティー/ある男のルール

「ブッラク・ダリア」からのL.A4部作はエルロイ畢生の大作であり、中でも「ホワイト・ジャズ」は他の追随を許さぬ傑作です。映画化された「L.Aコンフィデンシャル」の素晴らしさも脳裏にしっかり刻まれています。犯罪が多発する人種の坩堝L.A。エルロイの読者にはなじみの世界。職務を逸脱し暴走する警官をキアヌ・リーブスが演じています。
         
幕開けのガン・ファイトから情け容赦の無さが漲った画面にグッと惹き込まれました。物語はL.A4部作の変奏曲といった趣ですが、アレンジが大変巧みな脚本です。人間が人間である事から生まれる悪徳。差別。暴力。不公平。公務員の不正。組織的腐敗。法で裁けぬ罪。正義と政治。友情。愛といった要素を取り込みながら、激しい暴力描写とともに、人としての在り様、生き方をきっちり描き出しているところに感心しました。

それにつけても、ロサンゼルスという都市の並々ならぬキャラクター的魅力はこの作品にも色濃く反映しています。しらっちゃけて、乾燥した空気に響く拳銃の発射音の、劇的な演出を排した残響の無さもリアルで、クールな演出は作品のクオリティーを一層高めめています。カメラも音楽も文句なし。とても面白かった。

原題:Street Kings
監督:デビッド・エアー
脚本:ジェームズ・エルロイ、カート・ウィマー、ジェイミー・モス
製作:ルーカス・フォスター、アレクサンドラ・ミルチャン、
製作総指揮:アーノン・ミルチャン、ミシェル・ワイズラー、ボブ・ヤーリ
撮影:ガブリエル・ベリスタイン
美術:アレック・ハモンド
編集:ジェフリー・フォード
音楽:グレーム・ラベル
出演:キアヌ・リーブス、フォレスト・ウィテカー、ヒュー・ローリー、クリス・エバンス、
2008年アメリカ映画
1時間49分
20世紀フォックス映画