2007/11/20

ボーン・アルティメイタム

ジェイソン・ボーンのアイデンティティー探しも終局に至って何と全米No.1ヒットを記録したという期待の一作。前売りを買いながら初日に見逃し不覚をとった。で、1週遅れの観賞。
いやぁ、孤立無援のボーン君が、張り巡らされた死線を機転と抜群の身体能力で鮮やかに切り開き、ユーラシア大陸狭しと駆け巡る。ハードアクションの徹底的追及といった様相の3作目。
ボーンの洞察と決断をアクションで説き起こすという心憎い脚本を、ポール・グリーングラスのシャープな演出がイマジネーション溢れた映像に変えていく。知的なアクションと意表をつく展開から生まれる面白さと快感に体を預けた。

謎の核心へと肉薄していくボーンは、1作目より超人度が高くなっているし、潜入や脱出に際しての説明は省いているなど、ご都合主義的な面もあって、アクションの質量の凄さに比べ、ハラハラドキドキ感より大船に乗ったような安定感が先に立つ。ドラマ的盛り上がりはどうなの、巨悪を吹き飛ばすカタルシスがもっと欲しい、と言いたいところもあるが、結局、マット・デイモンの引き締まった体躯と苦悩する猿顔にはそんな気分を吹き飛ばす魅力がそなわっちゃったのだ。要するに、かっこいいのだ。それ以上一体何が必要か、それで充分だろってことだ。すごーく面白かったけど、うーん、スプレマシーの方が、好きかな。

原題:The Bourne Ultimatum
監督:ポール・グリーングラス
脚本:トニー・ギルロイ、スコット・バーンズ、ジョージ・ノルフィ
製作:フランク・マーシャル、パトリック・クローリー、ポール・サンドバーグ
原作:ロバート・ラドラム
撮影:オリバー・ウッド
音楽:ジョン・パウエル
出演:マット・デイモン、ジュリア・スタイルズ、デビッド・ストラザーン、スコット・グレン、
2007年アメリカ映画