2007/07/06

憑神


力はあるが出世栄達に縁のない彦四郎。ここは霊験あらたかなお稲荷さんに願かけをと周囲の勧め。ところが憑いてきたのは貧乏神、更には疫病神まで憑いてくる。
お話は質のいい落語のようで、全く良く出来ている。真面目な妻夫木とグータラな佐々木蔵之介兄弟の対比の中に、家族が抱える深刻な問題をちりばめているが、キャラクター作りと配置も巧みに、ナンセンスで皮肉の効いたコメディー振り。テンポも湿度も程よくカラッと面白い。
大川端のセットが効果的。最近の時代劇はロングショットのダイナミズムが期待できない省力型だが、それでも東映マークはやはり画が違う。演出も役者もノリがいい。雰囲気のある佳品。

しかし、やはり浅田次郎、最後はやっぱり泣き落しなのだな。泣き落し、嫌いじゃないけど、浅田次郎の場合は、泣かせ方が巧過ぎて説教臭い、いや説教はまだしも、巧い具合に操られて泣かせらてしまう感じが強く、そこに抵抗したくなってしまうのだ。

[監]降旗康男
[原]浅田次郎
[撮]木村大作
[出]妻夫木聡 西田敏行 江口洋介 香川照之 赤井英和 夏木マリ 佐々木蔵之介 笛木優子 鈴木砂羽
  佐藤隆太 森迫永依
[配給会社] 2007東映