2007/07/22

山野辺進・松山ゆう展「スクリーンの残映II」


挿絵と言われた時代から、端正で都会的な画風で知られた山野辺進。矢作俊彦のデビュー作もそうだったが、デッサンの確かさと洒落た構成の挿絵に、更なる格好良さを添えられたハードボイルド系の小説も少なくない。この山野辺画伯、熱心な映画ファンとしても知られ、今回スクリーンをモチーフにした作品での親子二人展ということで出かけた。

ヘンリー・フォンダ、ランドルフ・スコット、リチャード・ウイドマーク、ニヤッと笑ったバート・ランカスターの歯の白さったらベラクルスね。ジャック・パランスもニヤついてたね。懐かしいなぁ。50〜60年代の西部劇。ブロンソンはチャトズランドからってのも泣かせる選択。墓石と決闘のジェームズ・ガーナー。これはジェームズ・ガーナーがというより、ワイアット・アープ好きからのように見える。ワイアットといえばヘンリー・フォンダ。

画伯はヘンリー・フォンダが大好きなようだ。ヘンリー・フォンダが何枚もある。中でも荒野の決闘の名シーン、椅子に座り柱に足を突っ張らかってゆらゆらバランスを取っているところが絶妙のタッチで描かれている。ヘンリー・フォンダへの敬愛が滲み出てとてもいい絵だ。クレメンタインとのツーショットも。

アーネスト・ボーグナイン、リチャード・ブーン.リー・マービン、ジャック・イーラム、か、こうなるとヘンリー・シルバとかウッディー・ストロードなんかも観たかったかも。それにしても、昔の役者はいい顔してたなぁ。
フランスからはジャン・ギャバン。今はいなくなっちゃったこういう貫禄。
日本でも山形勳、伊藤雄之介、月形竜之介、三島雅夫とか。戦後日本が60年かけて何を失ってきたか、役者の顔の変遷からも窺えそうな気がする。

女優はビビアン・リー、キム・ノバック、マリリン・モンローと数も少な目。どうやら苦手のよう。技巧的だが気持は真っ直ぐ。そういう絵だった。

銀座松坂屋第二別館1Fアートスペース GINZA 5
2007年7月18日(水)〜7月23日(月)