2007/07/01

舞妓Haaaan!!!

舞妓おたくの阿部サダヲ、京都に左遷もうれしくてたまらない。早速お茶屋に繰り出すが一見さんお断りの壁に阻まれる。しかし社長がお茶屋の常連と知り、急遽仕事に精出し目覚ましい成果をあげて、ようやく社長のお供かなってお茶屋へと繰り出すと、そこには宿命のライバル堤真一が華々しく遊び呆けているのだった。

といった感じに進行して物語は、主人公の価値の紊乱振りや、いきなりミュージカル化したりする展開など、明らかに植木等の無責任男シリーズを意識しているようで、高度経済成長期の東京をスイスイと軽やかに上りつめた無責任男が、平成の祇園だったらどんなスタイルで遊び倒すだろうか、そんな雰囲気の都会的なコメディーを、てなところを狙った作品のようだ。植木等の出演場面にもリスペクト感が濃厚だったし。

確かに、ヒステリックでハイテンションなキャラは、阿部サダヲ十八番の秀逸なキャラだけど、今回の舞妓オタクは、一見変だけど、やることは普通なのだ。一見まともだけど実は普通じゃなかった植木の無責任男が見せた価値の紊乱振りに較べると、テンションは高いが、軽妙さも洒脱さもはるかに及ばず、なによりやることが野暮すぎた。基本の設定に魅力が乏しく、見かけのインパクトの割に飛躍がないといった感じで、出世の仕方にも工夫が足りないのは残念。

役者は悪くないのに、全体が垢抜けないのは、都会的な軽さとナンセンスな呼吸に欠けた演出の責任が大きい。クドカン、真面目で泥臭いのは巧いが、粋とか洗練はどうも柄に合わないのだ。

監督:水田伸生
脚本:宮藤官九郎
撮影:藤石修
出演:阿部サダヲ 堤真一 柴咲コウ 小出早織 京野ことみ 生瀬勝久 伊東四朗